学生たちが手作りした教材で実習スタート
「自分のステータスを確認しながらスキルアップが可能」と赤木教授
獣医保健看護学科の教材用として、岡山キャンパスの学生が手作りした包帯巻圧計測装置「まきよるONE」を利用した実習が10月30日、今治キャンパスでスタートしました。“獣工連携”で誕生した初の教材です。デバイスを開発・製作指導した情報理工学科の赤木徹也教授は「実習生にとって、自分のステータスを確認しながらスキルアップが可能なので、モチベーションを維持しながら取り組むことができるはずです」と独自の教材に期待を込めます。
「まきよるONE」は赤木教授が、「犬たちの負担にならないよう500円玉サイズと重さで」という獣医保健看護学科の佐伯香織准教授の要望に応えて、電源にフィルム状のリチウムイオンポリマー電池を使うなどして軽量化を実現。マイコンは小型かつ極低電力で、スマホとのBluetooth通信が可能なBLE対応の機種を選定しました。また、圧力センサに加わる力をスマホに伝送するハードウエアを開発し、アンドロイドとアイフォンの両方で使えるアプリでデータを可視化するなど、4カ月以上の時間をかけて完成させました。
このプロトタイプをもとに、実習用として20個を製作したのが、大学院理工学研究科システム科学専攻の修士課程2年、山下隼平(しゅんぺい)さんと同1年の石橋卓実さんです。
「まきよるONE」は赤木教授が、「犬たちの負担にならないよう500円玉サイズと重さで」という獣医保健看護学科の佐伯香織准教授の要望に応えて、電源にフィルム状のリチウムイオンポリマー電池を使うなどして軽量化を実現。マイコンは小型かつ極低電力で、スマホとのBluetooth通信が可能なBLE対応の機種を選定しました。また、圧力センサに加わる力をスマホに伝送するハードウエアを開発し、アンドロイドとアイフォンの両方で使えるアプリでデータを可視化するなど、4カ月以上の時間をかけて完成させました。
このプロトタイプをもとに、実習用として20個を製作したのが、大学院理工学研究科システム科学専攻の修士課程2年、山下隼平(しゅんぺい)さんと同1年の石橋卓実さんです。
「まきよるONE」の使い方を指導する赤木教授(後方左)と石橋さん(その右側)
赤木教授(左端)、石橋さん(右から2人目)、山下さん(右端)に装置の使い方を確認しながら実習が進みます
今治の学生たちは可愛らしいカバーで装飾
完成した20個は今治キャンパスに送られ、獣医保健看護学科3年の望月陽菜さんと下川愛莉さんが、素材探しから裁縫まで時間をかけて可愛らしいカバーで装飾してくれました。
赤木教授と山下さん、石橋さんは30日の実習に合わせて前日から今治キャンパスを訪れて、「まきよるONE」が想定通り機能するかどうかを入念にチェックして、本番に備えました。
実習は内科実習の「留置針の設置に関する技術」。獣医学教育病院4階の外科実習室では獣医保健看護学科の2年生と3年生約30人がグループに分かれて「まきよるONE」を使い、犬の人形モデルの脚部に「静脈内留置カテーテル」を装着する実習に取り組みました。包帯を強く巻き過ぎると、うっ血状態となるため、強過ぎず弱過ぎない適度な加減が必要です。学生たちは、熟練者の佐伯准教授と糸井崇将・獣医学科助教が「まきよるONE」で事前に計測した巻圧の数値と比較しながら、何度もチャレンジ。熟練者の数値に近づくと、「やった」の声とともにグループに笑顔が広がりました。
獣医保健看護学科の学生たちに
装飾を施された「まきよるONE」
赤木教授と山下さん、石橋さんは30日の実習に合わせて前日から今治キャンパスを訪れて、「まきよるONE」が想定通り機能するかどうかを入念にチェックして、本番に備えました。
実習は内科実習の「留置針の設置に関する技術」。獣医学教育病院4階の外科実習室では獣医保健看護学科の2年生と3年生約30人がグループに分かれて「まきよるONE」を使い、犬の人形モデルの脚部に「静脈内留置カテーテル」を装着する実習に取り組みました。包帯を強く巻き過ぎると、うっ血状態となるため、強過ぎず弱過ぎない適度な加減が必要です。学生たちは、熟練者の佐伯准教授と糸井崇将・獣医学科助教が「まきよるONE」で事前に計測した巻圧の数値と比較しながら、何度もチャレンジ。熟練者の数値に近づくと、「やった」の声とともにグループに笑顔が広がりました。
獣医保健看護学科の学生たちに
装飾を施された「まきよるONE」
岡山の学生たちは「新たな課題見つかった」「すごく達成感」と感想
赤木教授は「包帯の処置でどれぐらいの力が脚にかかっているのかを定量的にリアルタイムで確認できるのが、このデバイスです。熟練者と学生たちの技術の差が明確に数値で出るので、モチベーションアップにもつながります」と説明します。
製作した石橋さんは「実際に使ってみてもらって、センサの形状や測定範囲の拡大など、新たな課題も見つかりました。自分たちが作ったデバイスが役に立っていると思うと、とてもうれしいし、やりがいがあります」と笑顔で話し、山下さんは「現場に来て、実習で実際に使えるデバイスなんだと実感して、すごく達成感があります。トラブルが全くなくてホッとしています」と満足そうな表情で、実習の様子を見守っていました。
製作した石橋さんは「実際に使ってみてもらって、センサの形状や測定範囲の拡大など、新たな課題も見つかりました。自分たちが作ったデバイスが役に立っていると思うと、とてもうれしいし、やりがいがあります」と笑顔で話し、山下さんは「現場に来て、実習で実際に使えるデバイスなんだと実感して、すごく達成感があります。トラブルが全くなくてホッとしています」と満足そうな表情で、実習の様子を見守っていました。
学生たちの作業を見守る山下さん(右端)
「『感覚の可視化』によって学習効率の向上に期待」と佐伯准教授
◇
本学が進めている“獣工連携”事業「いきものQOL」プロジェクトを介した岡山、今治両キャンパスの学生の交流と実践的な学びは、岡山理科大学ならではの魅力の一つとなっています。真剣な表情で実習に取り組む学生たち
装置の使い方をアドバイスする石橋さん(中央奥)
学生たちはスマホに表示される数値を確認しながら慎重に包帯を巻きつけます
佐伯准教授(中央)は包帯の巻き方を熱心に指導
QOL Quality of Life(クオリティー・オブ・ライフ)の略で、本来は人間らしく生き生きと暮らしているかどうかを示す「生活の質」「生命の質」を示します。もともとは医療分野の末期がん患者などの終末期ケアの現場で、快適さなどを取り戻そうとして広がった試みです。福祉や介護の現場にも広がり、最近ではペットについても注目されています。
いきものQOL シリーズ一覧
動物の視点で考える #1
点滴しながら散歩もできる装置を #2
動物とヒトに負担がかからない見守りを #3
フレイルを予防しペットと飼い主の健やかな共生を #4
自宅で撮影したペットの動画で診断する #5
散歩しながらリハビリ治療も可能な車いすを! #6
“獣工連携”で初の教材誕生! #7
教材製作に着手 学生たちが思いを込めて手作り #7続編
学生たちが手作りした教材で実習スタート #8
産官学連携で毛が絡みにくいペット用タオル開発 #9