臨床工学専攻

理学部 応用物理学科

臨床工学専攻

最先端医療の担い手を養成するため、物理学・医療を多層的に学ぶ。

理学部 応用物理学科 臨床工学専攻は、2022年4月より教育体制を移し
臨床工学技士の取得を目指す学科として生命医療工学科に移行しました。

応用物理学科3つのポイント

最先端医療に不可欠とされる、
先端医用科学の基礎力を養成
高度な医療機器に対応できる
臨床工学技士を育成
高校での習熟度に対応した
クラス編成で基礎力を固める

最先端医療には物理学が深く関連し、今や物理学と医療は切り離せません。最先端医療で利用されるMRI(核磁気共鳴装置)やCT(コンピュータ断層検査)のほか、ガン治療を目指して大型加速器にて重粒子線の研究も進んでいます。いずれも、物理現象を医療に応用したものであり、これの機器の維持・管理や新しい機器の研究開発には、応用物理学を基礎とした学際領域の知識が不可欠です。そのため、最新の医療機器の操作や保守管理に携わる臨床工学技士や、新しい機器の研究開発をする技術者には、より高度な専門性が求められています。本専攻では、物理学の専門研究者、医師資格を持った病理医や経験豊富な臨床工学技士の協力による、多層的なカリキュラムを用意するとともに国家試験対策にも重点を置きながら、人の体内で起こっている現象を深く理解した人材を育成します。

4年間の学びの流れ

物理学の基礎科目を履修して、基礎を固める

数学、力学、電磁気学といった基礎科目をしっかりと身につけるために、高校での履修状況などに応じて「ゆっくりコース」と「ふつうコース」に分かれます。

臨床工学の基礎および専門基礎を学ぶ

物理学のより専門的な科目のほかに、医学、工学、情報に関する臨床工学の基礎・専門基礎科目を開講。
実験科目で基礎力を身につけ、解析や考察の仕方、レポート作成の方法についても学びます。

4年次のコース分けを見据えて科目を選択

実習科目を通して、4年次の臨床実習で必要となる知識を習得。これまで学んできた講義や実験をベースに、医療機器に関するより深い知識、理解、洞察力を培います。

受験資格取得もしくは特別研究に取り組む

国家資格取得のために専門科目と病院実習が必修の「臨床工学コース」、臨床データの解析や医療機器の開発などの特別研究に取り組む「医用科学コース」のいずれかを選択します。

学ぶ領域・分野

物理学

医療機器の動作原理を理解するため、力学、電磁気学といった物理法則の基礎を学ぶ。

医用工学

基礎的な医療機器の動作を学びながら、機器の特性を理解し、それを実現する工学技術を習得。

医療技術

人工呼吸器や人工心肺装置などの医療機器を安全に操作・管理する技術のほか、患者さんへ接し方、職務に関連する法令について学ぶ。

電気・電子

電気・電子回路の基本的な動作を、アナログとデジタルに分けて学習。回路を作成し実験をして理解する。

医学

解剖学、生理学といった基礎と、免疫学、病理学、薬理学、内科学、外科学など、臨床現場で必要な知識を学ぶ。

カリキュラム(専門教育科目)

選択科目 選択必修科目 必修科目

  1年次 2年次 3年次 4年次
基礎科目(共通) 質点の力学Ⅰ
微分積分学Ⅰ・Ⅱ
線形代数学
応用数学/基礎電磁気学Ⅰ
コンピュータ入門Ⅰ・Ⅱ
医学概論・公衆衛生学
医用工学概論
質点の力学Ⅱ
基礎電磁気学Ⅱ・Ⅲ
解剖学
  特別研究Ⅰ・Ⅱ
関係法規
看護学入門
ゼミナールⅠ・Ⅱ
臨床特別研究
(臨床工学コース)
臨床医学総論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ
(臨床工学コース)

臨床実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ
(臨床工学コース)
臨床医学特論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ
(臨床工学コース)
専門科目 共通   情報処理工学/機械工学
電子工学Ⅰ・Ⅱ
電気工学概論
システム工学/物性工学
基礎医学実習
生化学/生理学Ⅰ・Ⅱ
医用機器学概論
医用生体計測装置学
生体機能代行装置学Ⅰ
応用電磁気学
材料工学/計測工学
病理学/免疫学/薬理学
医用治療機器学
医用機器安全管理学Ⅰ・Ⅱ
生体機能代行装置学Ⅱ・Ⅲ
臨床工学コース     医用治療機器学実習
医用機器安全管理学実習
医用生体計測装置学実習
生体機能代行装置学実習
Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
実験(共通) 物理学基礎実験 電気・電子工学実験Ⅰ・Ⅱ  
専門関連科目(共通) 化学基礎論Ⅰ・Ⅱ/化学基礎実験
生物学基礎論Ⅰ/地学基礎論Ⅰ・Ⅱ
地学基礎実験
生物学基礎論Ⅱ
生物学基礎実験
 
※卒業には124単位を修得(うち基盤教育科目より34単位)が必要です。
履修モデルはこちら

在学生・卒業生からのMessage

在学生(3年生)

山内 与騎
滋賀県立長浜北高校出身

真のスペシャリストになるために「理学部」だから学べること。

 臨床工学技士は医学部や工学部、専門学校に進学するのが王道ですが、私は国内で唯一、臨床工学技士を目指せる理学部がある点に魅力を感じ「岡山理科大学」を選びました。というのも、医療機器を安全かつ確実に扱うには「どう治療するか」という「HOW」だけでなく、「なぜそうなるのか」という「WHY」の視点が大切。応用物理学科なら、臨床工学技士に不可欠な専門力や洞察力がより高められると思ったからです。

 特に臨床工学専攻は、少人数であることも利点。先生方の一人ひとりに対する指導が手厚いため、理解しやすくとても助かっています。実習で扱う設備が充実し自習スペースが多いこともあり、勉強に力を注ぐことができています。
 現役臨床工学技士として活躍する先輩に話を聞く機会も多く、さらなる学びの意欲も高まっています。

 

2012年3月卒業

押川 千穂
宮崎県立高鍋高校出身
兵庫医科大学病院勤務(兵庫県)

医療機器を使った実験や学会発表の経験が
臨床工学技士として成長していく支えです。

 テレビなどで臨床工学技士の活躍を見て憧れ、岡山理科大学 理学部での学びを高校の先生から薦められて進学しました。高校では縁のなかった物理学や電気工学も、仲間の協力や先生方からの丁寧な指導でクリア。国家試験対策では過去問に取り組むだけでなく、関連する医療機器を使用した実験が理解につながりました。

 卒業後は新しい治療法や設備を率先して導入する大学病院で、日々刺激を受けながら、主に人工透析業務を担当しています。学会発表の機会も多く、大学時代に先生の薦めで学会に参加した経験が大きな力に。
 今後は後輩のサポートや対外活動などを通して、私が蓄積してきた経験を活用してもらうことも重要視したいです。人工透析に関連する専門資格の取得へのチャレンジも考えています。

※在学生についての掲載内容は2020年3月時点の情報です。