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【先生コラム 探究のまど】第一回 -電車内の出来事から-

2024.09.02更新学科レポート
[初等教育学科][中等教育学科]

【先生コラム 探究のまど】第一回 -電車内の出来事から-

~教育学部の先生たちが日々の中でふと感じたことをつぶやくコラムです~

 「彼女が膝から崩れ落ちたんです。白目をむいて、だらりと開いた口からは、泡というか涎のようなものが出ていました。でも、もっと驚いたのは、周りの乗客の対応でした」。
「日刊SPA!」 2024年07月14日に掲載された、綾部まと氏のコラムの一部です。氏が「もっと驚いた周りの乗客の対応」とは、「誰も彼女に声をかけない」「そのままスマホを見続けたり、寝たふりをしたりする」ことです。ここまでではありませんが、私も同じような経験をしたことがあります。混み合うバスの中、足元がおぼつかない様子で立つおばあさんを心配した運転手さんが繰り返し「どなたか席を譲ってください」とアナウンスしました。しかし席を立つ人はいませんでした。私は座席が高く座りにくい一番前の席にいましたが、おばあさんを誘導し席をゆずりました。

 このような「無関心」が最近、社会にはびこっているような気がします。「少子高齢化」「格差社会」「環境問題」等、私たちの社会は多くの問題を抱えています。しかし、これらの問題は、そもそも誰かが声をあげ、みなが共感し、訴えていかなければ「問題」とはなりません。電車で倒れた女子高生のように、誰かが関心を向けなければ「ないもの」となってしまう。たしかに、起こっているはずなのに起こっていないことになる・・・これはとても恐ろしいことではないでしょうか。

 岡山理科大学教育学部の初等社会科内容論では、社会問題を取り上げて討論、対話する授業を行っています。社会のウェルビーイング(Well-being)を実現するためには「自分ごと」として社会問題に関心を持ち、共に解決していく必要がある、と思うからです。
熱心に議論する大学生の姿を毎回見ると、「日本もまだまだ捨てたものではない」とほっとします。
 みなさんも、気になる社会問題を話題に友達や家族と議論してみるのもいいかもしれません。そうすることで今までとは違う景色が見えてくるはずです。(初等教育学科 紙田 路子)