お知らせ

NEWS&TOPICS

  • HOME
  • NEWS&TOPICS
  • 「コリトサウルス」と確認/林原から理大へ移管された恐竜化石

「コリトサウルス」と確認/林原から理大へ移管された恐竜化石

2022.10.28更新理大レポート [岡山キャンパス]

「コリトサウルス」と確認/林原から理大へ移管された恐竜化石

 岡山理科大学生物地球学部の高崎竜司研究員や千葉謙太郎講師を中心とした研究グループは、2014年に林原自然科学博物館から理大に移管された標本群の一つである恐竜の全身骨格化石標本(以下「本標本」)を詳細に検討した結果、白亜紀後期(約7,600万年前)の植物食恐竜「コリトサウルス」であることを確認。国際科学雑誌「アナトミカルレコード」で論文公表し、10月28日、恐竜学博物館で記者会見しました。

 この標本は、多数のコリトサウルスが発見されるカナダ・アルバータ州のダイナソーパーク累層ではなく、米国モンタナ州のジュディスリバー累層から1989年に産出したものです。ジュディスリバー累層はダイナソーパーク累層とほぼ同時代の地層です。しかし化石の産出状況が異なり、二つの累層における恐竜類の関係性は不明瞭でした。両累層と産出化石の比較検討は大きなテーマであるため、研究グループは、本標本の分類学的位置を正確に決めることがコリトサウルスの生息域を知る重要な手掛かりになると考え、解剖学的な検討と、カナダ・王立オンタリオ博物館所蔵の標本との比較検討に取り組みました。
 この結果、本標本のいくつかの骨が、頭骨上部の突起(通称・トサカ)の骨(前上顎骨、鼻骨、頭頂骨)で、分類上重要な手掛かりとなることがわかり、本標本がコリトサウルスであると確認しました。

 今回の発表について高崎研究員は「これまで、コリトサウルスの生息域は不明瞭なままでした。理大の標本は、この問題解決に重要な役割を果たしました。林原自然科学博物館の標本収集の努力と、本学へ移管いただいたご縁によるものと、心から感謝しています。また、博物館に収蔵されている標本の中に新たな知見を学界にもたらす重要な標本があることを示すことができ、今後もさらなる標本研究の重要性を示せたものと考えています」と話しています。
 
「岡山での恐竜研究30年の成果の一つ」と石垣館長
 1992年に恐竜研究を始めた林原自然科学博物館が活動を終了したのが2014年。2015年に林原から理大に移動した石垣忍・恐竜学博物館長は「林原が始めた『日本における恐竜研究の拠点づくり』が岡山に根付き、林原から理大に引き継がれた標本をもとに科学的研究を進めることによって、学界に大きな貢献ができたことを大変うれしく思います。岡山の多くの皆さんの協力を得て、長年この分野の研究と体制づくりを進めてきたことが、実を結びつつあることを感慨深く受け止めています」と話しています。
 

 

「コリトサウルス」と確認/林原から理大へ移管された恐竜化石

コリトサウルスの復元画(作画・門嶋陸)

「コリトサウルス」と確認/林原から理大へ移管された恐竜化石

コリトサウルスの骨格標本図(作画・増川玄哉)

「コリトサウルス」と確認/林原から理大へ移管された恐竜化石

確認の決め手となったトサカの骨の一部