さらなる制御システムの工夫で、自動車をより快適な空間へ。
工学部電気電子システム学科
笠 展幸 (かさ・のぶゆき)教授
笠 展幸 (かさ・のぶゆき)教授
自動車の世界では、今では完全な電気自動車(EV)が生産され、かなり動力のエコ化は進歩しています。さらにもう一歩、省エネを進めるためには、モータの回転数を少ないエネルギーで増やすことが鍵となります。そのために欠かせないのが、制御技術。自動車という限られた資源や空間の中で、いかに高性能化を図るのか。それを実現する制御システムやモータを制御するハードウエアの開発が、私の研究の大きなテーマです。
それが、ひとつの形となったのが、岡山県・岡山県産業振興財団が中心になって取り組んだ「おかやま次世代自動車技術研究開発プロジェクト」です。2011年から6年にわたってモータの制御技術開発に携わり、試作品のEV「OVEC‐ONE」「OVEC‐TWO」を完成させることができました。
このときにも採用されたインホイールモータ用インバータは、今後の重要な研究課題。電気を直流から交流に変換する装置・インバータは省エネ効果が高いことで知られていますが、ホイールの中にモータとインバータを一体化させ、より省スペースで省エネを実現する研究を行っています。
こうした技術開発やAI化が進むと、これからの自動車は、今までの常識を超えた乗り物になっていくと予想されます。すべての動力機器は車体の下にコンパクトに集約され、運転もAIによる自動運転。乗車する人々は、リビングのような車内でくつろぎながら会話を楽しむ。そんな時代が、遠くない将来に実現するのではないでしょうか。