数学の視点から地球環境問題に取り組む

数学の視点から地球環境問題に取り組む

理学部応用数学科 陰山真矢

 人間の生活が便利で快適になる一方で、地球環境問題は深刻化し続けています。環境問題を解決するためには、気象学、生態学、環境化学といった様々な学問分野での研究が必要となりますが、実は数学も問題解決のための大きな役割を担っています。

 私たちの身の回りに現れる自然現象や社会現象の背後には数学が隠れています。それらの複雑な現象を数学の言葉で記述し、解析することで、現象が起こるメカニズムを解明できる可能性があるのです。陰山研究室では、地球温暖化などの環境問題が起こるメカニズムや、それらが地球上の生態系に与える影響を明らかにすることを目指し、地球システムを数学の言葉で記述した「デイジーワールドモデル」をひとつの研究テーマにしています。

 デイジーワールドとは、地球を単純化した仮想の惑星です。実際の地球にはたくさんの生き物が棲んでいますが、この仮想の惑星には白色と黒色の2種類のデイジーの花しか生息していません。2種類のデイジーの違いは、白色は太陽からの光を反射しやすく、黒色は太陽からの光を吸収しやすいという点だけです。デイジーワールドは非常に単純な惑星であるにもかかわらず、実際の地球において現れる生物と環境の相互作用の一部を、定性的に再現することが分かっています。
 このように、地球システムの本質的な特徴のみを取り出したデイジーワールドは、様々な要因が複雑に絡み合うことで起こる地球環境問題の研究に非常に有用であると考えています。他分野の多くの研究と並び、数学的視点から地球環境問題の解決に貢献することを目標に研究を進めています。
 

デイジーワールドの概略図
黒いデイジーは太陽光を吸収することで周辺の温度を上昇させ、白いデイジーは太陽光を反射することで周辺の温度を低下させる。






デイジーワールドの数値計算結果
温暖化が進むにしたがって変化する白色と黒色のデイジーの分布を示している。
興味をもってさらに詳しく知りたい人は、数学セミナー2024年3月号の特集「防災数学ー防災を広く捉え、災いから未来を紡ぐ」において私が書いた記事「数理モデルで温暖化を思考する」を読んでみて下さい。