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関西3空港の4滑走路をカバー バードソニック計42基体制に増強 バードストライク抑止に効果
2025.06.06更新理大レポート [岡山キャンパス]
滑走路わきでバードソニックをくみ上げていく辻特坦教授(左)ら=写真はいずれも関西国際空港で6月3日撮影
手慣れた作業で次々に設置が進みます
バードソニックの本体部分
スピーカーの向きを調整する辻特坦教授(右)と轟社長(左)
空の安全を守るために地道な作業が続きます
空港ごとの内訳は関空14基、伊丹18基、神戸10基。伊丹には5月19~20日の深夜、2本の滑走路全域をほぼカバーできるように18基を設置。6月3日の関空に続いて、神戸には6月11~12日に10基を設置します。
関空では6月3日、あいにくの雨模様の中、辻特担教授とT.M.WORKSの轟秀明社長と渡邊孝夫さんが、関西エアポート株式会社のスタッフに見守られながら、A滑走路(長さ3,500m)東側の緑地帯に打ち込まれた計14本のポールに、バードソニックのスピーカー、太陽電池パネル、バッテリーなどを次々に取り付けていきました。
バードソニックは1基につきスピーカーセットが4つずつ方向を替えて取り付けられています。各スピーカー中心から左右約50度方向に音が広がり、音の照射距離はほぼ風のない状態で約300m、有効範囲は150m~250mを目安としており、“音慣れ”に対応するためさまざまな周波数パターンで発射することが可能です。(天候・風・下草の伸び方等により異なります)
辻特担教授によれば、バードソニックの周波数帯は10㌔㌹~30㌔㌹で調整。鳥の種類によって効果が違うため、周波数調整が抑止効果に大きく影響します。
関西エアポートによると、昨年3月の試験設置以降、関空では今年1月までのヒバリやコアジサシなどの鳥の出現数が照射範囲内では7,022羽から3,537羽まで半減。年度ごとのバードストライク件数を比較してみると、2023年度23件に対し、2024年度は22件と数値的には微減ですが、発着回数が2024年度に前年比1.17倍に増えていることをも考慮し「本設置以降のバードストライク抑止効果にも期待していきたい」としています。
設置作業を終えた辻特担教授は「エンジントラブルなどの重大事故を招きかねないバードストライク抑止に向けて、バードソニックの効果には手応えを感じています。地味な裏方作業ですが、陰ながら日本の空の安全に貢献できることを誇りに思っています」と話しています。