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星野名誉教授のグループがワイン用ブドウ作出に成功/構想から5年で夢を実現

2022.09.07更新理大レポート [岡山キャンパス]

星野名誉教授のグループがワイン用ブドウ作出に成功/構想から5年で夢を実現

新種候補のブドウを収穫する(右から)桑原さんと北岡さん=ふなおワイナリーで9月7日

――シラガブドウとマスカットを交雑


 岡山県の高梁川流域にのみ自生している希少種の「シラガブドウ」と、岡山特産のマスカット・オブ・アレキサンドリアを交雑した新種候補のワイン用ブドウ作出に、岡山理科大学の星野卓二名誉教授のグループが成功しました。今後、成分や収量などの確認を重ねたうえで、2024年度の新品種登録をめざしています。収穫したブドウを使って、岡山理科大学のワイン発酵科学センターでワイン作りがスタートしました。

 星野名誉教授の専門分野は植物系統分類学。岡山県のごく限られた地域にしか自生しておらず、絶滅が危惧されているシラガブドウに早くから注目し、「高梁川流域の新たな産業育成にもつながる」として、2017年からマスカット・オブ・アレキサンドリアとの交雑による新種のワイン用ブドウ作りを構想。2018年に岡山理科大学が倉敷市、ふなおワイナリー(倉敷市船穂町)と包括連携協定を締結したのを受けて、国が認定した倉敷市の地方創生事業として、本格的に交雑に着手しました。

 ふなおワイナリーの圃場で、2018年度に交雑実験をスタートしました。マスカットの花粉をシラガブドウの雌花に、もう一つは、雌雄同株のマスカットの雄花を除去し、シラガブドウの雄花を受粉しました。この結果、両方の交雑実験から総計約200個の種子が得られました。香川大学で、ブドウの新品種「香大農R-1」の栽培に成功した望岡亮介・農学部教授の協力も得ました。

 翌年、この種子を育苗用のポットに播いて、58株の苗を獲得。2021年9月、このうち9株がシラガブドウに似た糖度の高い、濃い黒色の実をつけました。交雑が成功した瞬間でした。2022年6月には計20株に総計163房が実り、ワイン用に収穫しました。

 交雑により得られた実生株は、株ごとに形質や特性が異なる可能性があります。本年度は、系統別にワインを醸造し、糖度、酸度、pH、香り、味などを検証して有望な系統を選別。この系統の個体数を増やして収量を上げ、2年目以降に品質を調べたうえで、2024年度の新品種登録をめざしています。

 9月7日には、ふなおワイナリーの圃場で、理大のワインプロジェクトコースを履修する工学部バイオ・応用化学科4年、桑原雅哉さんと生物地球学部生物地球学科4年、北岡鮎美さんらが1房ずつ丁寧に摘み取っていきました。果汁を発酵させて、早ければ10月末には第1号ワインが完成する予定です。
 
「野生種の遺伝子を持ったワイン用ブドウを作ってみたかった」
 星野名誉教授は「野生種の遺伝子を持った新しいワイン用のブドウを作ってみたかった。今回、雌雄同株のマスカットの雄花をピンセットで一つずつ除去していくのは途方もない作業でしたが、糖度が高く、濃い黒色の野生種の遺伝子を持った果実ができたときには感動しました。このブドウが岡山特産のワイン用ブドウとして普及していけば、この上ない幸せです」と話しています。
 
シラガブドウ 1918年、高梁市と総社市の境界付近で白神寿吉が発見し、牧野富太郎によって新種記載された。岡山県の高梁川流域にのみ分布する野生ブドウ種。環境省のレッドリストで絶滅危惧種とされている。
学名はVitis shiragae Makino。

星野名誉教授のグループがワイン用ブドウ作出に成功/構想から5年で夢を実現

交雑に成功した新種候補のワイン用ブドウ

星野名誉教授のグループがワイン用ブドウ作出に成功/構想から5年で夢を実現

交雑に成功したブドウを理大ワイン発酵科学センター長の金子明裕・教授(左)に手渡す星野名誉教授(右)

星野名誉教授のグループがワイン用ブドウ作出に成功/構想から5年で夢を実現

高梁川流域に自生しているシラガブドウ=星野名誉教授提供

星野名誉教授のグループがワイン用ブドウ作出に成功/構想から5年で夢を実現

岡山特産のマスカット・オブ・アレキサンドリア=星野名誉教授提供

星野名誉教授のグループがワイン用ブドウ作出に成功/構想から5年で夢を実現

「野生種の遺伝子を持つワイン用ブドウを作ってみたかった」 と話す星野名誉教授