学生編10

学生編10

「すばる望遠鏡」観測に選抜参加  「天文学の楽しさ伝えたい」

生物地球学部生物地球学科2年 松井 瀬奈(まつい・せな)さん

「一生の思い出に残る体験」


巨大な「すばる望遠鏡」の前に立つ松井さん

 「コンピューターの操作ボタンをクリックした時の緊張感、モニターに映る巨大な望遠鏡がゆっくりと動いて、目標の天体をとらえた時の感動。一生の思い出に残る体験でした」と声を弾ませる松井さん。
 2018年10月20日~25日、全国から選抜された京都大学、東京大学などの学生9人とともに、ハワイ島にある「すばる望遠鏡」の観測研究体験に参加しました。口径8.2m。日本が世界に誇る国立天文台ハワイ観測所の望遠鏡です。
 この研究体験には、書類審査と与えられたテーマのプレゼンテーション(10分間)をクリアしないと参加できません。松井さんは赤外線観測と可視光線観測の違いについて発表し、見事にパスしました。
 すばる望遠鏡は標高4、200mのマウナケア山頂に設置されていますが、観測は山麓の施設でも行えます。松井さんたちは山頂の施設で「すばる望遠鏡」を操作して目標の天体を観測。データ解析方法なども学びました。天体から届くさまざまな波長の光を分解して解析することで、その天体の温度、元素、速度など物理状態の推測が可能で、現地で収集したデータの解析作業は帰国後も続けています。
 「観測所の皆さんは、すごく生き生きしていて、自由に伸び伸びと研究している感じでした。キラ輝いていて、自分もそうなりたいと思いました」と大いに刺激を受けた様子です。

星々に魅せられた少女時代


香川県の高松市こども未来館のプラネタリウムではイベントで解説員を務めました

 松井さんは愛知県出身。星に興味を持つようになったのは小学1年の時、家族でペルセウス座流星群を見たのがきっかけです。「流れ星を見たのが初めてだったので、驚きました。とてもきれいでした」。夜空を見上げては星座を見る日々が始まります。
 ある時、くじら座にあるはずの星の一つが消えていることに気づきました。調べてみると、有名な変光星「ミラ」でした。「星ってすごく面白い!」。気象条件がいい日や遅い時間になると街の灯が消えて、「普段目にすることのない星座が見えたり、目を凝らすと暗い星座が見つかったりするのが面白かった」と言います。
 
 当時、星とともに松井さんの心をとらえていたのが演劇でした。小学2年から舞台に立ち、中学時代は学校の総合学習の一環で松井さんはじめ生徒たちが台本から衣装まで手掛けてミュージカルを上演。高校時代は演劇部に入り、学校以外でも劇団の舞台に立ち活動の場を拡げました。
 また、英語学習に熱心な学校の方針もあって、中学3年の時にはニュージーランドに2週間、高校2年の春休みには1カ月間、オーストラリアでホームステイを経験。「南半球の星空は最高でした。大マゼラン雲、小マゼラン雲が見えました。北半球だと見えないので、毎晩堪能していました」
 天文をとるか、演劇をとるか――。進路選択にあたって悩んだ末に、母親の勧めもあって天文の道を選びました。

二つの夢の実現を目指して

指導をする福田尚也准教授(左)と天体望遠鏡を調整する松井さん

 理大に入ったのは、天文学コースがあり、学芸員資格と教員免許の両方を取得しやすい環境が整っていたからです。1年生の時から研究室に顔を出して、日本天文学会でフランス製分光器の日本語マニュアル作成について発表するなど、目覚ましい活躍ぶりです。持ち前の行動力を発揮して、各地のプラネタリウムを回り、時には解説員も務めます。
 2018年12月には、生物地球学部直属の組織で学生の主体的な活動をサポートする生物地球研究会の会長となり、イベント企画なども手掛けます。
 
 「今はやりたいことができていて、とても楽しいです」と松井さん。将来はやっぱり研究者? 「プラネタリウムの解説員(プラネタリアン)になりたい。子どもたちから『楽しかった。またプラネタリウムに来たい』と言われるのがすごくうれしいので。でも研究も続けたい。研究者になったとしても天文学の楽しさを、うまく人に伝えられるような研究者になりたい。研究と普及活動、どちらも大切な夢でどちらも大切にしていきたいと思っています」
 松井さんの目が一段と輝きを増します。