学部長からのメッセージ
「技術の力で、世界をもっと良くしたい」
豊かな未来社会を最適に具現化する、新たな時代の主役たちへ
皆さんの周囲を見渡してみてください。手の中にあるモバイル端末や家電製品、コンピュータをはじめ、路上を行き交う自動車、大空を駆ける航空機、そして私たちが生活を営む建物や都市の風景に至るまで、目に映るほぼすべての人工的なモノは、工学の知恵と技術によって「カタチ」作られています。
自然界に存在しなかった価値を創造し、社会の課題を解決して、人々の願いや生活を、確かな実感を伴う『社会の豊かさ』として最適に具現化することこそが、工学の本質であります。
かつて単なる連絡手段であった「電話」が、より便利で手離せないスマートフォンへと進化したように、従来の「自動車」は自律走行する次世代モビリティへ、そして私たちの暮らす「都市」そのものもインターネットと深く融合したスマートシティへと変貌しつつあります。
本学部は1986年の設置以来、建学の理念に基づき、時代の要請に応えながら発展を続け、2026年に40周年という大きな節目を迎えました。これまでに積み上げてきた「ものづくり」の伝統と教育研究の研鑽は、今や全国各地、あらゆる産業分野の最前線で活躍する多才な卒業生たちを通じて、社会を支える確固たる礎を築いております。
現代の工学は、単一の専門分野に閉じることなく、互いの領域をオーバーラップさせ、高め合うことで未踏の領域を切り拓いています。本学部が擁する5つの学科は、それぞれが独立した専門性を持ちながらも深く結びついています。
まず、工学の根源を支え、すべてのモノの可能性を決定づけるのが、物質を分子・原子レベルでデザインする「応用化学科」です。スマートフォンを鮮やかに彩る有機EL材料や次世代バッテリー、健康と命を守る医薬品、そして地球環境を守り、カーボンニュートラルを実現する革新的な触媒技術などは、持続可能な未来への選択肢を広げる価値の源泉となります。
ここで生まれた新素材は、「機械システム工学科」によって、極限環境に耐えうる航空機の機体や高効率なエンジン、人々の生活や医療をサポートする自律型ロボット、そして3D設計をナノ精度で具現化する精密加工技術へと繋がります。
さらに最新の複合材料を駆使した軽量かつ強靭な構造設計は、次世代モビリティの変革を加速させるとともに、スマートファクトリによる製造業の高度化を牽引し、産業基幹の次世代をデザインします。
これらハードウェアをダイナミックに機能させるのが「電気電子システム学科」です。クリーンなエネルギーを届ける次世代電力網(スマートグリッド)、電気自動車(EV)を制御するパワーエレクトロニクス、スマートフォンやAIを支える半導体集積回路(LSI)、そして光や電波を駆使した次世代の超高速通信技術は、インテリジェントな未来の社会基盤を創り出します。
その上で、「情報工学科」が司る高度なコンピュータシステムの開発や、生成AIに代表される人工知能技術、そして精緻な色彩表現を含め現実と仮想を融合させるVR/AR技術は、私たちの体験と可能性を進化させます。
さらに、あらゆるモノを繋ぐIoTやセキュリティ、次世代モビリティ・産業を高効率化するアルゴリズムによって情報インフラの根幹を支え、社会全体のデジタル化を牽引することで、豊かでスマートな未来社会の実現を加速させます。
これらすべての先端技術を包み込み、私たちの生活の舞台そのものを創り出すのが「建築学科」です。より豊かに暮らすためのスマート住宅から、多くの人々が集う駅や公共施設、そして街全体の景観に至るまで、デザインの美しさと機能性、安全性を高い次元で融合させます。
歴史的建造物を未来に継承する保存再生技術や、緻密な構造解析に基づいた防災・減災技術を駆使し、環境と共生するサステナブルな空間を設計することで、人々の営みと文化、そして未来をデザインします。
これらの専門性が共鳴したとき、人類の活動領域を広げる「宇宙空間での居住開発」や、エネルギーが完全に循環する「自律型スマートシティ」といった、社会のあり方を根底から変えるイノベーションが最適に具現化されるのです。
本学部では、新入生向けの「キャリアデザインI」という科目を設けています。この科目を通じて、1年次の早い段階から各学科の繋がりを俯瞰し、自らの専門性が未来社会のどの部分を担うのかを理解することで、学びの羅針盤を手にします。
加えて、「科学技術倫理」や「技術マネジメント」といった工学部独自の共通専門科目を配置し、高度な技術を操る者に相応しい深い倫理観と、プロジェクトを牽引する多面的な視野を養う環境を整えています。
また、産業界との密接な連携による共同研究・受託研究は、本学部の大きな誇りであり使命です。こうした社会のリアルな課題が身近にある環境は、学生たちの知的好奇心を刺激し、机上の学問が実社会でどのように「生きた技術」へと昇華されるのかを実感する、貴重な学びの場となるでしょう。
「技術の力で、世界をもっと良くしたい」
皆さんが抱くその純粋な意志と探究心こそが、次なる40年の未来社会を、より豊かに最適に具現化していく真の原動力となります。岡山理科大学工学部という知の結集拠点において、豊かな知性と倫理観を磨き、社会に求められる『新たな時代の主役』として未来をカタチにする。
皆さんがその第一歩を踏み出す日を、心よりお待ちしております。

工学部長 片山 謙吾

