(修士課程)修了
茂中 大毅さん
隈研吾建築都市設計事務所
設計演習での学びをベースに建築から街や家具まで
使う人が親しみや喜びを感じる建物の設計をめざす。
まちとの関係を考えることで建物のデザインの意味が見えてくる
幼い頃から家具作りに興味があり、詳しく調べていくうちに、建築家が家具をデザインすることもあると知りました。そこで、より大きな視点から物事を見られるようになりたいと、建築学科を志望。授業で最も刺激的だったのは「設計演習」です。カフェから劇場まで、少しずつ難易度の上がる課題に取り組む中で、周辺環境やその場所の本質を読み解きながら設計する重要性に気づかされました。「この建物がなぜこういう形になっているか」、その意味がわかってくると、興味は一つの建物からまち全体へと広がっていきました。
3年次後期からは、建築設計・都市計画を主テーマにする弥田 俊男先生の研究室に所属。卒業設計に取り組むほか、さまざまな設計競技にも参加しました。その中で一番印象に残っているのは、研究室全員で参加した岡山県の玉島に、地域の核となる施設を提案するというものです。3年生ながらリーダーに指名されたのですが、自身の考えに固執せず、みんなの意見を一つにまとめていくのは大変でした。しかし、玉島を訪れて自分の目と足を使って情報を収集する重要性や、話し合いの中から答えを導き出すことの大切さが学べ、論理的に説明する力や議論する力が鍛えられました。この経験はチームで設計に取り組む今の仕事にいきています。
建築士はインテリアや家具も含め建物の設計から現場監理まで担う
世界中から、やる気にあふれたさまざまな考え方をもつ設計者が集まり、とても刺激に満ちている隈研吾建築都市設計事務所。現在は、移転した旧・新歌舞伎座の跡地に建設中の「ホテルロイヤルクラシック大阪 難波」などの設計を手掛けています。設計と一口に言っても、お施主様の要望を取り入れつつ、デザインの方向性を決定する基本設計と、予算に合わせて材料を選定し、実際に形にするための詳細な図面を作成する実施設計があります。また、着工後も定期的に現場に足を運んで図面通りに施工が進んでいるかを確認する監理も建築士の仕事の一つです。そこでは法規や建築材料など、広範な知識が必要とされ、大学での学びがすべての基礎になっていると感じます。
お施主様からは設計段階から竣工間近までさまざまな要望が出されます。実現の難しいものもありますが、お互いに納得できるものになるよう、創意工夫し、提案することを心がけています。そうして多くの人の想いが形になるのはうれしいですし、今後も多くの人が使って親しみや喜びを感じてもらえる建物を作っていきたいと思います。