生物地球学科卒業
高橋 円香さん
青少年科学センター
いつかは自分個人の名前を掲げ全国のプラネタリウムで星や自然科学について語りたい
大好きな天文学を学び学芸員に
アウトドア好きな家族の中で育ち、小さい頃からキャンプやBBQをしながら昆虫採集をしていました。小学生の頃には図鑑を買ってもらったり、科学館に連れて行ってもらったり、気がついたら自然が好きになっていました。とくに宇宙と恐竜に夢中でした。
岡山理科大学を選んだのは、宇宙と恐竜のどちらも学べると思ったから。実際、地球のこと全部を学べる生物地球学部に入って正解でした。入学当初の私は、天文学と生き物について学べれば十分と考えていました。ところが、大学で学ぶうちに「地球は全体的につながっているんだ」ということに気づいたのです。学部での学びは、知りたいことが深まり、わかってくることが、とても面白かったです。
研究室では天文学全般を学び、とくに銀河の活発さについて研究しました。活動銀河(星をたくさん生む銀河)が発する特定の波長を観察し、それを卒論にまとめました。課外では「生物地球研究会」に参加し、学園祭で博物展示をしたり、オープンキャンパスで高校生たちに説明したり。ほかにも、自分たちで企画する天体観測イベントや化石発掘、生き物探しなどの活動を楽しみました。天体観望会では、集まった子どもたちに天体について説明する機会が多かったので、それが今の仕事にいかされているかもしれません。
私が勤めているのは、京都市青少年科学センターです。プラネタリウムを備えた科学系博物館です。天文の学芸員として、プラネタリウムでの解説や番組制作、企画展の展示のほか市民天体観望会の企画などに携わっています。プラネタリウムの投映番組は、子ども向け、小学生向け、大人向けの3パターン。小学生向けと大人向けの場合、星空案内のシナリオは自分で考えます。プラネタリウムに来られる方のニーズはさまざまです。専門的なことを知りたい方、星に癒しを求めている方…いろいろな方がいらっしゃる中で、バランスの取れたシナリオが求められます。その日の星空や天文ニュース、節分など暦に関係する話などをからめながら、お客さんが何を知りたいのか、どうすればリラックスできるか、などに気を付けながら原稿を考えるよう心掛けています。投映が終わってお客さんが帰るときに「面白かったよ」「今日は星を見て帰ります」と言ってもらえたときはとても嬉しいです。
星や自然科学を好きになるきっかけを与えたい
在学中の一時期は大学院に進んで研究者になる道も考えましたが、ある日、星を見ていたら、身近な自然現象の面白さを多くの人に伝える仕事をしてみたくなりました。私自身も「なぜあの星は赤く見えるのかな」と疑問に思い、星の表面温度が低いと赤く見えるということを知った時、これまで何気なく眺めていた星空がより身近で興味深いものになったことをよく覚えています。就職活動をして、一度は一般企業に就職しましたが、やはり学芸員になりたいという思いが強く、転職して現在に至ります。
実際に天文の専門職として働いてみると、まだまだ天文の知識が足りないと実感しています。もっともっと知識を増やして、専門性を高めたい。また、原稿を書いたり、説明をしたりする仕事が多いので、今後は、人に伝えるために必要な知識や言葉にする力を鍛えていきたいです。そしてもうひとつ。当科学センターには恐竜の展示も多くあるので、いつかプラネタリウムで恐竜に関する番組ができたらなとひそかな希望を抱いています。
私自身、さまざまな科学館での出会いが自然や科学が好きになるきっかけとなりました。そんなきっかけを今度は私が誰かに伝えたい。「高橋円香」として、星や自然科学の魅力を、おもしろおかしく伝えられる人を目指して、これからも頑張っていきます。