生物化学科の学生のアクティビティ 1

生物化学科の学生のアクティビティ 1

本田海美 ( ほんだ ・うみ ) さん(福岡県出身)
理学部 生物化学科 4年

「粘菌」に魅せられて

 そもそも粘菌の研究を始めたきっかけは?

 もともと生物系に興味があったので、学科の名前で進学を決めました。化学系の研究が比較的多い中で、教授の南善子先生、助教の森田理日斗先生の二人が生物寄りの研究をされていて、その授業を受けていて、やっぱり生物って面白いなと改めて実感しました。
 粘菌は森林の中のジメジメした場所にいます。とても面白くて、普通だったら生物は乾燥してミイラ化した後、まず元に戻ることはありません。でも粘菌は戻る。乾燥耐性といいますが、いろんな物質が体の中で増えたり減ったりしているみたいなので、その一つの物質に焦点を当てて、どのように働いているのか、を研究しています。
 その物質がポリアミン。人を含めてあらゆる生体に含まれ、タンパク質の合成やDNA複製などの活動にも関与していると言われます。そのポリアミンを代謝している酵素が研究対象で、これが乾燥耐性に何か手伝いをしているのではないかと考えています。ただ、全然分かっていません。


 




 

  粘菌研究の魅力は?

 粘菌は菌と名前に入っていますが、人間と同じで、細胞の中に核がある「真核生物」で、独特な生活環を持つ生物です。胞子からアメーバが生まれ、アメーバが接合して変形体となり、子孫を残すために子実体へと変化し、そして子実体から胞子が生じて世代が繰り返されます。研究室では主に変形体の状態で粘菌を培養していて、変形体はバットに敷いた濾紙の上でも育てられますし、液体培地中で微小変形体として育てることもできます。微小変形体は無菌的に培養しており、植え継ぎの時に環境にいる細菌が入り込んでしまってはいけません。だから微小変形体の植え継ぎは大変です。
 粘菌に魅せられたのはまず、色がきれいだったからです。それと、乾燥してもよみがえるというのがすごいと思って。こんな生物がいるんだという驚きですね。
 
 

 大学院はどんな研究を?

 4月から大学院に進みます。現在は一つの酵素にのみ着目して研究を行っていますが、他にも乾燥耐性に関連しそうな代謝酵素がいっぱい推測できているので、その関わりとか、さらに、この酵素がなくなったら粘菌は乾燥から復帰しなくなるんじゃないのとか、死んでしまうんじゃないか、とかも確認していきたいと思う。粘菌の仕組みを解明したいんです。楽しいです。

 

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