工学部
学部長からのメッセージ
夢と論理的思考力を持った工学専門家へ
人間は、これまで様々な「ものづくり」を実践してきました。石器、土器、埴輪、青銅器、建物、道、鉄道、自動車、飛行機、スマートフォンなどなどです。これらの人間が作ってきた「もの」によって、人間の生活も大きく作り変えられてきました。歴史上、石器時代や青銅器時代など「もの」の種類の名前が付けられていることは、その証左と言えるでしょう。工学は、より幸せな人間生活に作り変えていくことを目的に、科学をはじめとする様々な知識を使って、「ものづくり」を実践するための学問です。現象や物事の本質を探究する理学との違いは、実践に重点が置かれているところです。「工」という字は、科学(上の横棒)を社会(下の横棒)につなげる(縦の棒)という意味を表していると言われるゆえんです。
岡山理科大学工学部は、1986年、応用化学科、機械工学科、電子工学科の3学科から出発し、現在では、バイオ・応用化学科、機械システム工学科、電気電子システム学科、情報工学科、知能機械工学科、生命医療工学科、建築学科、工学プロジェクトコースの7学科1コースを擁するまでにいたりました。大学院工学研究科は、1990年に修士課程および博士課程が設置されたことに始まり、工学部のすべての学科が大学院博士課程までの充実した教育・研究環境を整えています。この30年余りの間、自由な教育・研究の環境の下、教員一人一人の自律した自由な発想に基づき研究を実践すると共に中国・四国を中心とする地域に根ざした工学系人材育成拠点としての地位を築いてきました。
工学部の各学科は、産業分野や工業製品などと結びつけて考えられることがあります。例えば、バイオ・応用化学科は化学工業に、機械システム工学科は自動車産業に結びつけられます。しかし、実際のものづくりは、いろいろな学科の知識を複合的に使って行います。例えば、自動車では、エンジンや車体については機械システム工学科、燃焼・触媒反応や材料開発などはバイオ・応用化学科、電子制御回路や発電機は電気電子システム学科、カーナビや自動運転システムは情報工学科、さらにデザインや意匠分野の知識も使われます。このように、様々な工業製品は、複数の分野の専門的知識を複合的に使って創られていきます。これらの基幹的学科では、それぞれの分野についての教育研究が行われていますが、これらに加えて、いくつかの分野の知識について複合的に教育研究を行う学科があります。昨今のロボット・AI技術に対応するための知能機械工学科(機械分野、電気電子分野、情報分野の複合)、医療機器や再生医療に対応するための生命医療工学科(バイオ・化学分野、機械分野、電気電子分野の複合)、住宅や高層建築物に対応するための建築学科(機械分野、バイオ・化学分野、デザイン・意匠分野の複合)の3学科です。さらに、学生ひとりひとりの目標に合わせて学科の枠にとらわれないでカリキュラムが立てられる工学プロジェクトコースを用意しています。
それぞれの学科・コースの正課の教育課程に加えて、課外活動を通した人材育成にも力を入れています。全日本学生フォーミュラ大会や各種ロボコンなどへの参加を通じた実践的な能力の養成です。
本学工学部は、夢と論理的思考力を持った工学専門家の卵を育成していきます。それらを通して、将来どのような道に進もうとも、自ら専門家になれる資質の養成をめざします。
工学部長 松浦 洋司