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【先生コラム 探究のまど】第8回 -「やり遂げる力」今一度-

2025.04.17更新学科レポート
[初等教育学科][中等教育学科]

【先生コラム 探究のまど】第8回 -「やり遂げる力」今一度-

~教育学部の先生たちが日々の中でふと感じたことをつぶやくコラムです~

 昨年から他大学の先生と協働して、家庭学習の応援団をつくるようなプロジェクトを進めています。最近は「やらねばならない宿題」からの脱却が話題になっています。でも、「やらねばならない学習でなくても、応援団は必要なんじゃないですか」という発想です。こんな書き出しをしていると、ふと、20年ほど前に勤めていた学校の校誌に寄稿した文章を思い出しました。昔は学級通信も担任の裁量でどんどん出せていたので、何度か「毎日通信」を達成したときの話です。一部抜粋して掲載します。
 作った学級通信は号数をつけてメディアに保存します。(中略)。99号までいくとドキドキします。100号を超えると200号まで出したくなります。(中略)。土曜日が休みになって、たいてい授業日数は199日です。そこで年賀状を学級通信にしました。もう無理やりです。「学級通信本来の趣旨から外れている。数を出せばいいってもんじゃないぞ。」と怒られそうです。勘の良い読者(保護者)さんは「先生、200号にするんですか。」と、こちらのもくろみを見抜いてきます。でもその後に「がんばってくださいね。」と言われると、うれしくなります。読者さんからは、お正月明けだけでなく、「毎日楽しみにしていますよ。」とか「昨日のお手紙はおもしろかったですね。家族で読んで大笑いしました。」とか言われることもあります。これまたやめられなくなります。
 私は何かをやり遂げようとするときには、本来の目的とは別の楽しみ方を見つけるようにしています。かっこをつけて言うと「仕事には遊び心を」というやつです。ただ、「遊び心」だけでは所詮は遊びです。「ああ楽しかった。」と思えても「やったぞ。やって良かったな。」にはなりません。途中やめにしてもいいかなとも思えてきます。そんなときに人から「がんばってくださいね。」とか「すごいですね。」とか言われると「最後までやり遂げないとな。」と思えてきます。最後には「やって良かったな。」になります。私の場合、「やり遂げる力」って、けっこう周りの人からもらっているようです。【※】

 人間の発想って、やはり経験を基にしているんでしょうね。今一度思います。
【※】北原和明,なでしこ第78号,岡山大学教育学部附属小学校(2007)より抜粋
(初等教育学科 北原 和明)