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岡山城西の丸での考古学系実習実施

2024.02.28更新学科レポート
[生物地球学科]

岡山城西の丸での考古学系実習実施

 2023年12月22~24日と2024年1月12日に生物地球学科1年生を対象とした野外調査法実習1で、岡山市教育委員会が管理する旧内山下小学校にある岡山城西の丸の遺構群において文化財を学ぶ実習を行いました。
 最初の日に岡山城の本丸、二の丸、西の丸の地形や起伏、割石積の石垣や櫓の特徴を学び、岡山市教育委員会の御計らいで重要文化財西手櫓の見学も実施しました。この西手櫓は岡山空襲で燃えずに残されたもので、同じく空襲の被害を免れた月見櫓よりも古くに建造されたものです。

 その後、池田光政公も愛でたであろう西の丸御殿に付随した庭園の遺構である池水の平面実測を体験し、考古学の野外調査方法を学びました。
 この池水遺構は江戸時代が終わった後に学校が造られたため、昭和時代までにレンガやセメントを用いて大きな改変を受けたと考えられますが、江戸時代の風情を忍ばせる部分が各所にみられます。
 例えば、この池には現在は中洲があり、現代になってから造られた二つの石橋と遊歩道が敷設されています。これに重なる様に江戸時代にも中洲や歩道が設けられた可能性があります。池水の周囲には江戸時代の工法である矢穴があけられた花崗岩が組み入れられた飛石や半球形の窪みが穿たれた凹石が配置されています。大きな砂岩や緑泥片岩は価値のある珍しい銘石として江戸時代に運ばれたと考えられます。
 また、池に対して垂直に屹立する立石や水平に寝ている伏石、池淵に設けられた雁木(階段)、緩やかに池へ傾斜した砂洲、南側にみられる築山も、江戸時代に造られたものの、昭和時代までに大いに改変を受けたものと推定されます。築山があった場所には明治天皇の行幸を記念した巨大な石碑が建立されています。現在は池水に水がはられていないので、江戸時代には水があった部分にも入り込んで、池水の底部の構造も観察し、記録しました。

岡山城西の丸での考古学系実習実施

岡山城西の丸での考古学系実習実施