受賞題目は「Grain refinement and age precipitation in Al-0.5%Si-0.5%Ge alloy fabricated by ARB process」。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、研究内容はこうです。まず、アルミニウム合金は微量元素を添加して熱処理すると強度が上がります。「時効硬化」と呼ばれます。
中川教授らのグループは、アルミニウム合金の強度をさらに増すために、この時効硬化の前処理として、ARB加工法(Accumulate Roll Bonding:繰り返し重ね接合圧延)という巨大ひずみ加工を行います。ARB加工法ではあらかじめ微量元素を添加したアルミニウム合金の2枚の板材を重ねてロール圧延し接合します。これを繰り返すと結晶粒サイズを1ミクロン以下にまで微細化でき、通常の結晶粒径(数100ミクロン)のアルミニウム合金よりも強度が2倍以上になります(→結晶粒微細化強化)。
受賞題目は「Grain refinement and age precipitation in Al-0.5%Si-0.5%Ge alloy fabricated by ARB process」。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、研究内容はこうです。まず、アルミニウム合金は微量元素を添加して熱処理すると強度が上がります。「時効硬化」と呼ばれます。
中川教授らのグループは、アルミニウム合金の強度をさらに増すために、この時効硬化の前処理として、ARB加工法(Accumulate Roll Bonding:繰り返し重ね接合圧延)という巨大ひずみ加工を行います。ARB加工法ではあらかじめ微量元素を添加したアルミニウム合金の2枚の板材を重ねてロール圧延し接合します。これを繰り返すと結晶粒サイズを1ミクロン以下にまで微細化でき、通常の結晶粒径(数100ミクロン)のアルミニウム合金よりも強度が2倍以上になります(→結晶粒微細化強化)。
将来に向けて、アルミニウム合金を持続的に使用して製品をつくるには、限りある資源を有効利用する必要があり、これまで以上に高強度で、かつリサイクル性にも配慮したアルミニウム合金の開発が求められています。
通常、ジュラルミンに代表されるアルミニウム合金の多くは、時効処理により強度を高めることができます。しかし、結晶粒サイズが1ミクロン以下の超微細粒アルミニウム合金では、時効処理により結晶粒の成長が活発に進むため、逆に強度が低下し時効硬化が難しいことが分かっていました。そこで、この条件をクリアするにはどうすればいいか、というのが業界の大きな研究テーマとなっていました。
中川教授らの研究グループは、種々の添加元素と熱処理条件について幾度も実験を繰り返した結果、原子サイズの異なるシリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)の2つの元素を同数量添加し、さらに比較的低温(100℃)で時効処理を行うことで、超微細粒アルミニウム合金においても時効硬化が可能であることを明らかにしました。
「地球環境と持続可能な社会を意識した研究を進める」
受賞について中川教授は「15年ほど前からARB加工法を開発した京都大学の研究グループと共同で超微細粒アルミニウム合金の高強度化の研究に取り組んできた成果が、世界的に評価されて大変うれしい。ARB加工法と時効硬化を組み合わせることで、これまでより添加元素を少なくしても高強度なアルミニウム合金をつくることができるので、特に資源の乏しい日本の製造産業が生き残っていくにはこうした視点が欠かせない。これからも新しいアルミニウム合金の開発を通して、地球環境と持続可能な社会を意識した研究を進めていきたい」と話しています。