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国際バカロレア(IB)教育について学ぼう!
国際バカロレア(IB)教育について学ぼう!
2024.10.15更新
理大レポート
[岡山キャンパス]
理大で文科省主催のIB教育推進イベント開催
(別稿)「IB教育の現状と展望」を語る――教育学部 ダッタ・シャミ教授
国際的な教育プログラムのIB(国際バカロレア)教育を推進するためのイベントが9月28日、岡山市北区の岡山理科大学で開催されました。文部科学省主催の「国際バカロレア教育について学ぼう!――2024年度地域セミナーin中国地方」で、中国地方を中心に約150人の教員らが参加しました。
当日は、「探究型学習を基軸にする国際バカロレア教育」と題した基調講演に続いて、各地のIB教員が「探究型学習の指導スキルと新時代の教員能力開発」と「地方におけるIB教育の推進」 をテーマに2つのパネルディスカッションが行われました。このほか、幼稚園・小学校対象のIBプログラム(PYP)、中学校対象のMYP、高校対象のDPという各クラスの分科会があり、参加者がIB教育への理解を深めました。
約150人が集まった文科省主催の地域セミナー
(別稿)IB教育の現状と展望――教育学部 ダッタ・シャミ教授
この日のパネルディスカッションのパネリストや教員研修・教員養成関心者向け分科会講師を務め、日本国際バカロレア教育学会副会長のダッタ・シャミ・岡山理科大学教育学部教授・国際バカロレア教員養成プログラムディレクターに、IB教育の現状と展望について語ってもらいました。
◇
時代が求める人材を育成するプログラム
最初に強調したいのは、IB教育プログラムは、グローバルでもローカルでも、ドメスティックでも、時代が求める人材を育成するプログラムであるということです。
まずIBの教育プログラムについておさらいしておくと、国際バカロレア機構(本部・ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラムで、年齢別にPYP(3~12歳)、MYP(11~16歳)、DP (16~19歳)などのプログラムがあります。多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者を育成するのが目的です。世界各国で導入されています。
「IB教育は時代が求める人材を育成するプログラムです」と語るダッタ教授
IB認定校は既に国内249校
わが国では、文部科学省がIB教育に取り組む認定校について「200校以上」という目標を設定していました。現状で249校と目標数をはるかに上回っています。国策ということもあって、研究だったり、ワークショップが無償だったりとか、いろんな形で国が支援しており、自治体によっては特別に予算を組んでいるところもあります。岡山県備前市では全国で初めて小中学校全てをIB認定校にする方針で、同様な施策を検討している自治体は他にもあります。
国内外の大学で導入進むIB入試
教育内容ですが、PYP、MYPは「探究」や「振り返り」というフレームワークはあっても、最終試験がありません。高校で学習するDPには世界共通の試験があります。学習指導要領には、IB教育の考え方も反映されていると考えています。
DP導入の理由の一つには、高校最後のDPスコア(45点満点、資格取得は24点以上)によって国内外のたくさんの大学に入る道があるからです。海外ではハーバード大学、イエール大学、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学など、国内でも東京大学、京都大学、早稲田大学、慶応大学、本学など数多くの大学がIB入試を導入しています。
「生徒にはしっかりガイダンスを」
ただ、現在の課題としては、DPに関しては選択する前に生徒にしっかりガイダンスをやってほしいと思っています。IB教育はアカデミック比重がかなり高いカリキュラムなので、1科目、2科目だけなら本人が向いてなければ、替えればいいので全然問題ないのですが、日本の高校はきれいに全体をコース化したがる傾向が強い。普通の高校生が8000字の論文を書くかというと、全員がそういう訳じゃない。なので、IBの科目は「言語と文学」「言語の習得」「個人と社会」「理科」「数学」「芸術」の6科目グループがありますが、フルで選んでいる生徒にも降りる選択肢を設ける、途中でやりたくなかったら別の科目でもいいよと。もう一つの方法は、IB科目は勉強するけど試験は受けない、これでもいいと思います。試験は6科目ですが、そのプレッシャーがすごいので。IBPYP、IBMYPと違ってIBDPは万人向けではないと思っています。そこまでやりたい高校生に向いているプログラムです。
IBマインドを育成するIB教員養成プログラム
IB教育は教える側も大変です。豊富な知識力、教授力があって探究的教育をやってきた教員ばかりではありません。そこでIB機構が認定する大学のIB教員養成プログラムが広がっています。学部なら4年間、大学院なら2年間でIB教員資格を与えてIBのマインドを育てようというプログラムです。岡山理科大学は学部として全国で初めて2016年、このプログラムを導入して以来、毎年約30人以上がIB教員の資格を取得しています。全国でもトップレベルです。
IB教育の効果がどうなのか、という研究も既に始まっています。IB教育では「探究する人」「知識のある人」「考える人」「コミュニケーションができる人」といった10の人物像に価値が置かれています。社会の変化、経済、技術、ICT等のAIの変化が激しくなってきている中で、多角的、多面的に問題を捉えて探究・研究・分析で課題解決と発信、さらに振り返りができる人材を育てていくのがIB教育です。
45点満点で24点が合格ラインですが、点数だけでなく、IBが主張していることを一応ベースレベルまでできたとしても、これだけでも結構すごいことですよ。そのためには教員や学生に対するサポート体制は欠かせないと思います。
広がるIB教育 「日本全体の教育の実践・展開のヒントに」
IB認定校がまだ少なかったころは、何か特別な人たちがやっているという感覚だったと思うのですが、最近になって、学習指導要領が替わってから関心が広まっています。これから楽しみなのは、IB教育という国策の流れが日本全体の教育の実践・展開のヒントになれば、ということ。今回のセミナーは正にその道筋の一つにあります。
例えば広島県に関しては、IB教育が学びの示唆となりうる判断が既にあります。80ある県立高校の校長推薦を受けた若手教員の2年間のプログラムを県の指導主事たちが実践していますが、「概念型探究」などのIBの趣旨が多分に入っています。その講評役を私が務めています。IB教育が広く浸透しつつある事例の一つだと思います。
<ダッタ教授・略歴>
インド出身。国際基督教大学教養学部卒業、ブリティッシュコロンビア大学大学院修士課程修了。2016年まで20年以上、学校法人関西学院千里国際高等部・大阪インターナショナルスクール専任教諭 (IB部長・社会科・教務・進路など)を務め、2016~2020年東京学芸大学(教職大学院)准教授・国際バカロレア教員養成ディレクター、2020年岡山理科大学教育学部教授、国際バカロレア教員養成プログラムディレクター。日本国際バカロレア教育学会副会長、国立台湾師範大学客員教授
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理大で文科省主催のIB教育推進イベント開催
(別稿)「IB教育の現状と展望」を語る――教育学部 ダッタ・シャミ教授
当日は、「探究型学習を基軸にする国際バカロレア教育」と題した基調講演に続いて、各地のIB教員が「探究型学習の指導スキルと新時代の教員能力開発」と「地方におけるIB教育の推進」 をテーマに2つのパネルディスカッションが行われました。このほか、幼稚園・小学校対象のIBプログラム(PYP)、中学校対象のMYP、高校対象のDPという各クラスの分科会があり、参加者がIB教育への理解を深めました。
時代が求める人材を育成するプログラム
まずIBの教育プログラムについておさらいしておくと、国際バカロレア機構(本部・ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラムで、年齢別にPYP(3~12歳)、MYP(11~16歳)、DP (16~19歳)などのプログラムがあります。多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者を育成するのが目的です。世界各国で導入されています。
「IB教育は時代が求める人材を育成するプログラムです」と語るダッタ教授
IB認定校は既に国内249校
わが国では、文部科学省がIB教育に取り組む認定校について「200校以上」という目標を設定していました。現状で249校と目標数をはるかに上回っています。国策ということもあって、研究だったり、ワークショップが無償だったりとか、いろんな形で国が支援しており、自治体によっては特別に予算を組んでいるところもあります。岡山県備前市では全国で初めて小中学校全てをIB認定校にする方針で、同様な施策を検討している自治体は他にもあります。国内外の大学で導入進むIB入試
教育内容ですが、PYP、MYPは「探究」や「振り返り」というフレームワークはあっても、最終試験がありません。高校で学習するDPには世界共通の試験があります。学習指導要領には、IB教育の考え方も反映されていると考えています。DP導入の理由の一つには、高校最後のDPスコア(45点満点、資格取得は24点以上)によって国内外のたくさんの大学に入る道があるからです。海外ではハーバード大学、イエール大学、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学など、国内でも東京大学、京都大学、早稲田大学、慶応大学、本学など数多くの大学がIB入試を導入しています。
「生徒にはしっかりガイダンスを」
ただ、現在の課題としては、DPに関しては選択する前に生徒にしっかりガイダンスをやってほしいと思っています。IB教育はアカデミック比重がかなり高いカリキュラムなので、1科目、2科目だけなら本人が向いてなければ、替えればいいので全然問題ないのですが、日本の高校はきれいに全体をコース化したがる傾向が強い。普通の高校生が8000字の論文を書くかというと、全員がそういう訳じゃない。なので、IBの科目は「言語と文学」「言語の習得」「個人と社会」「理科」「数学」「芸術」の6科目グループがありますが、フルで選んでいる生徒にも降りる選択肢を設ける、途中でやりたくなかったら別の科目でもいいよと。もう一つの方法は、IB科目は勉強するけど試験は受けない、これでもいいと思います。試験は6科目ですが、そのプレッシャーがすごいので。IBPYP、IBMYPと違ってIBDPは万人向けではないと思っています。そこまでやりたい高校生に向いているプログラムです。
IB教育は教える側も大変です。豊富な知識力、教授力があって探究的教育をやってきた教員ばかりではありません。そこでIB機構が認定する大学のIB教員養成プログラムが広がっています。学部なら4年間、大学院なら2年間でIB教員資格を与えてIBのマインドを育てようというプログラムです。岡山理科大学は学部として全国で初めて2016年、このプログラムを導入して以来、毎年約30人以上がIB教員の資格を取得しています。全国でもトップレベルです。IBマインドを育成するIB教員養成プログラム
IB教育の効果がどうなのか、という研究も既に始まっています。IB教育では「探究する人」「知識のある人」「考える人」「コミュニケーションができる人」といった10の人物像に価値が置かれています。社会の変化、経済、技術、ICT等のAIの変化が激しくなってきている中で、多角的、多面的に問題を捉えて探究・研究・分析で課題解決と発信、さらに振り返りができる人材を育てていくのがIB教育です。
45点満点で24点が合格ラインですが、点数だけでなく、IBが主張していることを一応ベースレベルまでできたとしても、これだけでも結構すごいことですよ。そのためには教員や学生に対するサポート体制は欠かせないと思います。
広がるIB教育 「日本全体の教育の実践・展開のヒントに」
IB認定校がまだ少なかったころは、何か特別な人たちがやっているという感覚だったと思うのですが、最近になって、学習指導要領が替わってから関心が広まっています。これから楽しみなのは、IB教育という国策の流れが日本全体の教育の実践・展開のヒントになれば、ということ。今回のセミナーは正にその道筋の一つにあります。例えば広島県に関しては、IB教育が学びの示唆となりうる判断が既にあります。80ある県立高校の校長推薦を受けた若手教員の2年間のプログラムを県の指導主事たちが実践していますが、「概念型探究」などのIBの趣旨が多分に入っています。その講評役を私が務めています。IB教育が広く浸透しつつある事例の一つだと思います。
インド出身。国際基督教大学教養学部卒業、ブリティッシュコロンビア大学大学院修士課程修了。2016年まで20年以上、学校法人関西学院千里国際高等部・大阪インターナショナルスクール専任教諭 (IB部長・社会科・教務・進路など)を務め、2016~2020年東京学芸大学(教職大学院)准教授・国際バカロレア教員養成ディレクター、2020年岡山理科大学教育学部教授、国際バカロレア教員養成プログラムディレクター。日本国際バカロレア教育学会副会長、国立台湾師範大学客員教授