論文タイトルは「日本・飛騨帯大理石中のδ13C-δ18Oの変動」(原タイトル:The δ13C–δ18O variations in marble in the Hida Belt, Japan)。日本に分布する飛騨帯は東アジア大陸縁の地殻基底の一部(地殻中〜下部:深さ10〜30km程度)であったため、そこに産する大理石を使った研究は、地殻変動の過程で生じた様々な地質イベントの理解につながります。
δ13Cやδ18Oは炭素や酸素の安定同位体比が標準物質(基準値となるもの)の同位体比からどれだけずれているかを表します(1000分率表記:‰)。これらは自然界の物質ごとに特有な値を示すため、地殻内で起こる変成作用や交代作用を理解する上で非常に重要な指標になります。
地質イベントの記録を読み解き、地球を理解する手がかりに
論文タイトルは「日本・飛騨帯大理石中のδ13C-δ18Oの変動」(原タイトル:The δ13C–δ18O variations in marble in the Hida Belt, Japan)。日本に分布する飛騨帯は東アジア大陸縁の地殻基底の一部(地殻中〜下部:深さ10〜30km程度)であったため、そこに産する大理石を使った研究は、地殻変動の過程で生じた様々な地質イベントの理解につながります。
δ13Cやδ18Oは炭素や酸素の安定同位体比が標準物質(基準値となるもの)の同位体比からどれだけずれているかを表します(1000分率表記:‰)。これらは自然界の物質ごとに特有な値を示すため、地殻内で起こる変成作用や交代作用を理解する上で非常に重要な指標になります。
この論文のポイントは、高温の地殻内で炭酸塩がケイ酸塩や流体と反応する場合、炭酸塩中の初生同位体組成を変化させる脱炭酸反応が起こることを示したことです。
今回の研究にあたっては、青木准教授は「レーザーアブレーションICP質量分析装置」を使ったU–Pb年代測定(ウランの放射壊変による鉛同位体成長を利用した年代測定)を担当し、大理石の再結晶が起きたタイミングや反応条件の特定に貢献しました。
青木准教授は「普段何気なく目にしている地層・岩石には、過去の地球で起きた様々な地質イベントが記録されています。それらを丁寧に解析し読み解いていくことで、我々が住む地球を学術的な面からこれまで以上に深く理解できると思っています。共同研究は異なる分野の研究者の方たちと交流・議論することができ、これまで知らなかった知見をたくさん得ることができます。今後もさまざまな方と共同研究して、新しい発見に貢献できれば」と話しています。