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ロードキルをゼロに!/辻教授ら開発の高周波発生装置

2022.09.28更新理大レポート [岡山キャンパス]

ロードキルをゼロに!/辻教授ら開発の高周波発生装置

鹿ソニック(赤色囲み部分)を装備したJB本四高速のパトロールカー(JB本四高速提供)

しまなみ海道のJBパトカーに装備

 野生動物の交通事故(ロードキル)を防止するため、岡山理科大学・教育推進機構の辻維周(まさちか)教授が山梨県の企業と共同開発した高周波発生装置が、本州四国連絡高速道路株式会社(JB本四高速)のパトロールカー(道路巡回車)に装備されました。動物が嫌がる高周波を発生させて、自動車に近づかないようにする装置で、ロードキルの未然防止効果が期待されています。

 高周波発生装置を装備した道路巡回車を配備したのはJB本四高速しまなみ今治管理センター(管理区間:西瀬戸自動車道<瀬戸内しまなみ海道>大三島IC~今治IC)。同センターによると、この区間は橋梁部約5.5kmに対し、島部分が約24.5kmで、野生動物の侵入防止を目的とした立入防止柵を整備し 、さらに2020年度からはロードキル発生(イノシシ)のつど、現地確認及び対策を実施していますが、ロードキルは、2019年度にタヌキ76匹、イノシシ27匹など計142匹、2020年度は  計94匹が発生(うちイノシシ12匹)、2021年度では計116匹(うちイノシシ7匹)となっているとのことです。

 ロードキルは主に夜間に発生し、重大事故にもつながりかねないことから、社会的な問題にもなっています。同センターと辻教授ほか関係機関が集まりロードキル対策に関する打ち合せを実施した中で、辻教授と山梨県の自動車部品メーカー「T.M works」が共同で開発した高周波発生装置(商品名:「鹿ソニック」)を提案した結果、 さらなるロードキル対策(動物侵入抑止・パトロールカーの安全確保など)の一つとして9月6日、2台に試行的に装備されました。

 もともと鹿ソニックは、T.M works社が試作し、2018年末ごろから辻教授が開発に協力してきました。車両の進行方向にいる動物に向かって、35パターンの高周波音を左右50度、前方50m~70mにわたって照射します。装置は本体(縦9cm、横4.4cm、奥行き2.5cm)をボンネット内に装着し、車両前方にスピーカー(縦5.4cm、横12.6cm、奥行き2.4cm)を取り付けます。名称は「鹿ソニック」ですが、イノシシやタヌキなどでの効果は確認済みです。

 効果的な周波数や発射パターンの実証実験を繰り返してきた辻教授は、「装備すれば完了というものではなく、対象が生き物なので、根気よくメンテナンスと改良を続けていかないといけない」と話し、「これからも野生動物と人間との距離を保てるよう、さまざまな土地と条件で研究と実験を繰り返していきたい」とロードキルの抑止に意欲を燃やしています。

 「鹿ソニック」の導入にあたり、同センターは「『お客様に安全、安心、快適に利用していただけるよう、サービスの充実に努めます』『瀬戸内地域の美しい自然を大切にし、環境に配慮します』というJB本四高速の経営理念に基づき、ロードキルゼロを目指す道路管理業務に寄与していただけるものと期待しています」としています。
 
 

ロードキルをゼロに!/辻教授ら開発の高周波発生装置

JB本四高速のパトロールカー(JB本四高速提供)

ロードキルをゼロに!/辻教授ら開発の高周波発生装置

前部に鹿ソニック10台を試験的に装備した辻教授の自家用車(写真は辻教授)

ロードキルをゼロに!/辻教授ら開発の高周波発生装置

ボンネット内に装着した鹿ソニックの本体