留学体験レポート12(第1報)

留学体験レポート12(第1報)

フィリピン
マニラ・セブ島

岡 小百合(おか さゆり)

理学部 臨床生命学科3年
留学先 Palette・CEGA
留学期間 2019年12月~2020年3月

第1報

NPOでの活動を通じて社会貢献について考える

 
 フィリピンに到着して2週間、到着した⽇は不安いっぱいでしたが、なんとかやっております。
私は今フィリピンのマニラの近くに住んでいます。⾸都マニラは都会で⼈がいっぱい居ますが、私の住んでいるところは少し離れているのでのどかな⽥舎です。



 今フィリピンもクリスマスムードが漂っています。フィリピンのクリスマスは9⽉ごろから始まり12⽉まで続きます。ハロウィンも盛り上がるそうですが、ハロウィンはクリスマスに挟まれた形で⾏われるそうです。ここ数⽇はパーティーを開いている家も多くなり、ほぼ毎⽇どこか家で⼤規模なパーティーが開かれています。昨⽇は近所の⼦供たちが⼀軒⼀軒それぞれの家の前で歌を歌って回っていました。寮にも歌を歌いに来てくれました。



 語学学校はGK Enchanted Farmという場所にあります。GK Enchanted Farmはフィリピンで最⼤のNGO(ガワドカリンガ)の拠点の⼀つです。
ガワドカリンガはコミュニティ⽀援を⾏っている団体で、フィリピン国内に⼤⼩3000以上のコミュニティがあります。
GK Enchanted Farmは東京ドーム11個分の広さです。ほとんどが畑ですが、その中で社会企業家の⽅々が貧困家庭の⽅を雇い収⼊を⽣み出す取り組みをしています。



 ガワッドカリンガがしている貧困への解決策として下記の3つの段階で⽀援をしています。
1st 住む場所の提供
2nd 収⼊源を⽣む(社会企業)
3rd 新しい社会企業家を育てる
(専⾨学校seed)



 2ndにあたる社会企業のPlush & Playという企業に⾒学に⾏ってきました。
この地域は何の不況かわかりませんが不況になる前、服飾業が盛んであったそうです。そのため縫製の技術を持っているお⺟さんが多いことに⽬をつけたフランス⼈が起こした事業で、ぬいぐるみを作っています。
当初からフィリピンの著名⼈を模倣した野菜のぬいぐるみを作っていました。ただのぬいぐるみではなくnoplastic を掲げていて⼦供が⼝に⼊れたとしても安全なものを作ることを⼤切にしているそうです。
ここ数年はBtoC ではなくBtoB の取引が多くなり、展⽰品に使うぬいぐるみを作っているそうです。具体的には企業のマスコットキャラクターの受注が最近多く、野菜
のぬいぐるみはGKのお⼟産となっています。

 

右の写真は⼈気商品
バナナ Jessica Saging
ココナッツ Buko Martin
コーンMais Ganda
フィリピンの署名⼈を模してぬいぐるみの顔はそれぞれ特徴的です。

皆さんが疑問に思うかもしれないことの⼀部を質疑応答の時間で聞いたので、
質問と返答の⼀部を簡単に説明しておきます。

Qなぜ野菜のぬいぐるみだったのですか?
・ここがGK enchanted FarmでFarmだから
・⼦供の教育⽬的
・フィリピンのFarm⽂化を伝えるため

Qお⺟さん⽅の仕事のやりがい、この仕事を選んでよかったことは何ですか?
・家計を⽀えられること
・フェアトレードにより以前より給料が上がったこと
・この企業は質を⼤切にしていること

Qどうやって仕事(受注)を得ているのですか?
・創業者であるフランス⼈が持っていた既存の受注先から
・仕事の受注数には波があって,仕事がない時期とある時期に⼤きく差があるが、基本的には毎⽉コンスタ
ントに仕事がくる
・⼤量発注が来たときはパートタイム(⽇本で⾔う内職)を雇う

Qデザインは誰が考えているのですか?
・主には従業員と創業者

Q今後の⽬標を教えてください
・もっと多くの従業員を雇うこと
・⼀⼈ひとりの潜在能⼒を最⼤限に活かすこと

 

【ぬいぐるみ作り⾒学とお話を聞いての感想】
 布を切る→ミシンで縫う→綿を詰める→綿を⼊れたところを縫う→⽬などを刺繍する、全ての⼯程において⼿作業で⾏われていました。ぬいぐるみはとても可愛くてそれぞれ著名⼈の特徴があるので表情が違ってさらにいいと思いました。リストラはなく、仕事があれば来たい時に来ていいと⾔う雇⽤形態をとっているため、家のことと仕事の両⽴が図りやすい⼯夫がされていると感じられました。この時期はクリスマスを控えているので9−12⽉の期間はとても忙しいそうです。GK内の社会企業はフェアトレードを促進するために付加価値をつけて対象を富裕層としていると聞きました。以前からフェアトレードについて知ってはいましたが、改めて貧困問題の解決にはフェアトレードが必要であると認識しました。フェアトレードを⾏うには商品そのものの質が⾼いことが重要となり、従業員の技術も量より質を求めていると⾔われていました。忙しい中で上記以外にも多くの質問に答えていただけたことに感謝しています。

【まとめ】
 ⽇本は今寒いですが、フィリピンは暖かいを通り越して⽇中はかなり暑いです。私が着いた時からフィリピンはクリスマスモードに⼊っていて⼈⽣初、夏のクリスマスを体感しています。私がいるGKには多くのフィリピン⼈がおり、コミュニティでもあり、社会企業家の卵たちが勉強している場所でもあります。⼩規模語学学校のため⽣徒数は今7⼈、全て⽇本⼈ですが少し変わった留学を求めてここに来ています。それぞれが思いを持ち、⽇々を過ごしている⼈が多いので話を聞くのがとても楽しいです。私の英語⼒は⾼くないので聞き取れないことが多々ありますが、悔しい気持ちをモチベーションに変えて頑張って⾏こうと思っています。GK内の企業はそこにいる⼈が持っている能⼒を⽣かして雇⽤を⽣み出していました。新たに難しい技術を習得しなければいけないわけではないことが⼤切であると思いました。GK内の社会企業は利益の⼀部をさらに寄付しており,社会企業として事業を継続していくこと+貧困をなくすことに尽⼒しています。貧困問題を解決することへの意識がかなり⾼いと感じました。今後もボランティアや他の社会企業の⾒学に参加していきたいです。