留学体験レポート9(第1報)

留学体験レポート9(第1報)

フィリピン
セブ島

平岡 和(ひらおか なごみ)

生物地球学部 生物地球学科 3年
留学先 サウスピーク 
留学期間 2019年8月〜2019年9月

英語を勉強しNPO法人セブンスピリットを見学する

  • フィリピンの暮らし

 セブ・シティは前回訪れたドゥマゲテやシキホールと異なり、サリサリストアが少なく、放し飼いの鶏を見かけることもほとんどありません。現在はセブの雨季に当たるため、毎日のように短時間に激しい雨が降ります。日本の生活とは水回りや食事の面で異なりますが、半年前に3週間のフィリピンの生活を体験しているため動じることはありません。むしろ、滞在先が語学学校で近くに日本人がいることで安心感があります。また、トロピカルフルーツの図鑑を借りたので、図鑑に記載されている果物を食べ、種子を集めています。

  • 語学学校の様子

 8月18日にフィリピン(セブ島)の語学学校のサウスピークに到着し、19日から授業を受けました。授業は一日4科目、Pronunciation,4skills,basic Speaking,Group lessnを受講しています。平日は授業がない時間は自習をしているため、校舎の外を出歩くことはほとんどありません。

 1週間が経過した頃、子音は聴き分けることができるようになりましたが、母音の聴き分けに苦労しています。英作文では使い慣れていない表現を用いるようにし、慣れるようにしています。グループレッスンは課題が提示されてから答えるまでの時間が短く、現在でも瞬時に発言することができません。他の受講生に「相手の話を聴きながら自分が何と答えるか考えていたら良い。」と助言され、2週間目から食事のときなど、生徒同士や教師と英語で話すようにしています。学校では、5時半の起床と6時からのラジオ体操、一日平均10時間の学習やカリキュラムに従った音読学習などが推奨されています。こちらで推奨されていることは全て継続しようと思っています。

 今週の金曜日に教師の一人が退職されるので「あなたが最後の生徒の一人だから何か特別なことをしようと思った。まだ種子を集めているの?」と前日のスピーキングの授業で話題になった「Mean Girl」の小説とランソネスを贈られました。後で他の生徒が教師の給与水準や生活状況について話しているのを聴き、彼女らにとって果物が貴重だと知り申し訳なさも感じました。

  • セブンスピリットのスタディツアー

  8月24日にNPO法人セブンスピリットのスタディツアーに参加しました。セブンスピリットは金銭的支援も大切ですが、スラムの人々が生き抜くための教育的支援を重視し、160人ほどの子供たちに音楽やスポーツを教えている団体です。薬物乱用や乞食をしていたスラムの子供たちが音楽やスポーツを通して成功体験を積むことで自信を持てるようにと代表の田中さんは語ります。セブンスピリットから大学のオーケストラに入ることを条件に進学が決まった方もいます。

 今回はイナヤワン地区のガベージマウンテンの見学後、同地区の子供たちによるリコーダーと鍵盤ハーモニカの演奏を聴きました。最後に、セブンスピリットのオフィスに戻り先程とは別の子供たちのオーケストラの演奏を聴きました。
 
 イナヤワン地区のガベージマウンテンは2015年まで増大を続けていましたが、ゴミから発生する悪臭がショッピングモールまで届くため、2015年からゴミが運び込まれなくなりました。しかし、ゴミをお金に換えたり、木材として再利用したりするため現在もゴミを漁りにくる子供が絶えないと聞きました。当日も空のゴミ袋を提げてガベージマウンテンに向かう少女を見かけました。ガベージマウンテンで裸足でゴミを拾う子供たちもおり、ガラスの破片で足を切り、そこから感染症にかかり足を切断することもあるとセブンスピリットのインターンシップの学生から聞きました。
 
 ゴミを燃やせばガベージマウンテンはなくなるように思いますが、日本の政府が贈ったごみ焼却所はフィリピンでは焼却する時の温度が上がりきらず、ダイオキシンが発生するため使用が中止されたそうです。イナヤワン地区は下水施設が整っておらず、前日の雨で道路の脇は冠水し、ガベージマウンテンの凹地は池のようになっていました。
 
 現在、イナヤワン地区の出張音楽教室は民家の中庭で行われていますが、来月頃から日本のロータリークラブからの支援で、天候に関係なく練習できるようなホールができるかもしれないそうです。同行した同じ語学学校の生徒は「ストリートチルドレンに遭遇しても必要以上に避けたり怖がったりしなくて良いのかもしれない。」と言っていました。私も同じように考える一方で、彼らの未来を想像しないままお金だけ渡すのも無意味だと思い、彼らの音楽や芸術への対価を支払うというかたちで関わっていくのも良いかと考えました。