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応用化学実験4 コロイドおよび界面化学分野の実験(その2)

2024.12.23更新 学科レポート
[応用化学科]

応用化学実験4 コロイドおよび界面化学分野の実験(その2)

 本実験では、イオン性界面活性剤水溶液を用いて電気伝導度を測定しました。この測定は、JIS K 0130に基づいて行いました。

 電気伝導度の測定は、河川や雨水などの環境水、上水、産業で使用される水溶液、さらには下水や排水など、さまざまな分野で実施されています。電気伝導度は水溶液中のイオン濃度に比例するため、水溶液中のイオン濃度の推定に利用されます。

イオン性界面活性剤水溶液の場合、電気伝導度は濃度に比例して直線的に増加します。しかし、ある一定濃度を超えると、電気伝導度の増加は緩やかになります(傾きが小さくなります)。この現象は、以下のように説明できます。

 イオン性界面活性剤水溶液中では、界面活性剤が電離して「界面活性剤イオン」と「対イオン」を形成し、界面活性剤の濃度に比例してイオン数が増加します。しかし、界面活性剤濃度がある一定値(臨界ミセル濃度:CMC)を超えると、界面活性剤は溶液中で会合し、ミセルを形成します。イオン性界面活性剤の場合、界面活性剤イオンが会合して、直径数nm程度のイオン性ミセルを形成します。ただし、界面活性剤イオンが単に会合しただけでは、局所的な同一イオン濃度が増加し、静電(クーロン)反発によって会合体は不安定になります。そのため、ミセル表面に対イオンが吸着し、静電反発を抑えてミセルを安定化させます。ミセル表面に対イオンが吸着することで、ミセルの正味の電荷数が減少します。この結果、臨界ミセル濃度(CMC)を超えた領域では、電気伝導度の増加が緩やかになります(傾きが小さくなります)。
 本実験では、電気伝導度法を用いてこのCMCを求めました。

 初めて操作する装置に少し緊張しながらも、慎重に電気伝導度測定を行いました。