よなら、ガイド本。

知らない町の観光で、手放せないのがガイド本。でも、人ごみで大きな地図を広げて、たくさんの情報の中から欲しい情報を探すことはけっこう大変。「IT技術で、観光ガイドを便利にしよう」と、劉先生の研究室では未来の案内システムを開発している。各スポットにあらかじめ、テキストや音声、映像などの解説データを用意。観光客がその前を通ると、自分の欲しい情報をスマートフォンやケータイなどで受け取れるというもの。双方向通信をおこなうことで、その人の興味にあわせて情報を送り分けることができるよう工夫した。「使った技術はブルートゥースなど、一般的なものばかりです。これからのITはヒラメキ。今の技術で何ができるかを考えることが大切です」。さあ、あなたならどんなサービスを実現する?

総合情報学部 情報科学科
劉 渤江 先生

しも指紋認証の技術で、絵本をつくったら。

カメラの顔認識機能、タッチパネルなどの手書き文字入力、銀行ATMの指紋認証など。これらには「パターン認識」と呼ばれる技術が使われている。このパターン認識の新しい可能性を追求するのが、大倉研究室。「たとえば絵本。絵の変わりにアルファベットなどのカンタンな記号をページに記載し、それをCCDカメラで読み込みます。すると、その記号にあわせたシーンがPCモニタに3Dポリゴンで表れるというもの」。さらに、「音」というカードを読み込ませると効果音が流れたり、「声」というカードで朗読が始まるなど、これまでの絵本にはない工夫がほどこされている。「地域の幼稚園を訪問して披露したところ、大好評でした。次は、もっと子どもたちが直感的に遊べるものを開発したいですね」。

工学部 情報工学科
大倉 充 先生

向音痴たちに、愛の手を。

スマートフォンやWEB上の地図アプリで、現在地と目的地を入力するとルートが表示される。今でこそ当たり前になったこの機能の開発に、いち早く乗り出したのが北川研究室。「最初に開発したのは、もう10年以上前。データベースと呼ばれる大量の情報を、どういう風に使うと便利になるのか考えた結果、地図との連動を思いつきました」。広いエリアばかりでなく、岡山理科大学のキャンパスという狭いエリアをより詳しくナビするアプリも開発。「新入生が迷うことなく効率のいいルートで教室を移動できるようにと思いましてね。松葉杖の人はこっちからのほうがラク、とか、遠まわりだけど階段が少ないなど、細かく条件指定できるように工夫しました」。今後は、駅や商業施設などへの応用も期待される。

総合情報学部 情報科学科
北川 文夫 先生

路の測量データを、リアルに3次元CG化。

島田先生が開発したソフトは、まるで自分がレーサーになったような感覚で公道を疾走する興奮が味わえる。そこに描かれているのは、自動車で走行した時の視界をリアルに表現したCG(コンピュータ・グラフィックス)。もちろんゲーム用などではない。これは道路やトンネル、周辺の建物などの形状を正確に再現したCGなのである。「道路などの測量は、以前は人手による計測でしたが、最近では専用のクルマにGPSアンテナやレーザースキャナを搭載し、走行しながら地形データを読み取るシステムが登場しています。しかしこのシステムは、あくまで『点』の集合体として地形データを取得するので、コンピュータ上で再現するとわかりにくい。そこで、膨大な点の上にCG技術を駆使して『面』を貼りあわせ、3次元表示できるソフトを開発しました」。このソフトによって、測量した道路やトンネルの状況などがCGで一目瞭然となり、劣化具合や修復個所などを容易に把握できるようになった。そして先生はいまこの3次元CGの道路データをクラウド化し、インターネット上でどこからでも閲覧できる環境にしようと試みている。「一般の家庭でもこうした正確な地形データを見られるようになると、たとえば大雨が降って自宅近辺の道路が冠水した状況などもシミュレーションでき、防災にも役立つと考えています」。島田先生の研究をみなさんが実感できる日も、おそらくそう遠くはない。

工学部 情報工学科
島田 英之 先生

解なパズルを「グラフ理論」で解き明かす。

さて、ここでみなさんに問題。現在、日本には790の市(岡山市や倉敷市など)がある。これらの市の名前でランダムに「しりとり」をした場合、いくつまでつなげられるだろうか?……しりとりの組み合わせをひとつひとつ確かめていくやり方では、途方もない時間がかかる。しかし「グラフ理論」を使えば、こうした難問も理論的に解けると森先生は言う。「グラフ理論というのは、点と点の“つながり”を線で表していろいろなものを考えようとする学問。わかりやすくたとえると、旅行で5か所の観光地を訪れる時、どう回れば経路が最短になるかを考えるのもグラフ理論。しりとりも、言葉の頭の文字とお尻の文字の“つながり”ですからグラフ理論を応用できるのです」。このグラフ理論、たとえばコンピュータのアルゴリズムを考えたり、あるいは電気回路を設計する時などのベースとなる理論であり、実は私たちの生活にとって非常に重要な学問なのだ。ちなみに、冒頭の「最長しりとり問題」の答えは339市。森先生の研究室の学生が、グラフ理論を用いて実際にこの問題を解いた。「グラフ理論は、暗記能力や計算能力よりも、発想やひらめきのほうが大切。パズルを解くのが好きな人なら、きっと面白いと思いますよ」と森先生。ぜひみなさんも挑戦してみては?

理学部 応用数学科
森 義之 先生