100年後のニッポンにも、土壁の家を。

美しい自然と調和する日本の伝統家屋。木材と土壁が室内の湿気を調整し、強い日差しをさえぎるなど、この国の気候の下、快適に暮らすための知恵がたくさん詰まっている。ところが、残念なことに伝統家屋は年々減少している。「土壁は地震に弱そう、というあいまいなイメージが要因のひとつ」と山崎先生は語る。「果たして強度はどれほどか、数年前から地元設計士の方と共同で調査を始めました」。職人さんがつくった土壁を、油圧ジャッキで左右に5〜45cm揺さぶり、その壊れ方を検証。「土壁の仕様は、つくった職人さんによって少しずつ異なっているのが現状。耐震という意味で、この差が強度に大きく影響しては困りますよね。実験結果を基に適切な仕様を示し、伝統構法を未来の日本に残したいと考えています」。

工学部 建築学科
山崎 雅弘 先生

学によって人体の謎にせまり、人の命を救う。

動脈硬化が起きたら血管の性質や血液の流れはどうなるのだろう。スポーツをしたり、宇宙空間にいると、骨や筋肉、腱/靭帯などはどのように変化するのだろう。工学、力学の視点から人体の構造や機能を解析し、その結果を医療などの分野へ応用するバイオメカニクス。林先生はこの分野における第一人者だ。過去には、人工心臓の開発にも携った。「それまで医師が単独でつくっていたので、バイオメカニクスの観点から再設計。性能の高い人工心臓が完成しました」。その人工心臓は20年以上にわたり多くの命を救った。そんな林先生が率いる研究室で今明らかにしようとしているのは、がん細胞の硬さと構造。「人体には、誰も知らないことがまだまだたくさんある。それを解明することが一研究者としての楽しみです」。

工学部 生体医工学科
林 紘三郎 先生

映画のロボットを、現実社会に。

よくSF映画に登場するロボットスーツ。人間がロボットを装着することで、超人的なパワーとスピードを手に入れることができる。そんな夢のような話が、遠くない未来に実現するかもしれない。ロボットコンテストで準優勝の実績を持つ赤木研究室では、ウェアラブルロボット(着るロボット)の開発に取り組んでいる。「性能もさることながら、こだわりは着心地。なるべく軽量・柔軟化して、スムーズに動くよう工夫しています。たとえば、関節の動作部分には、駆動範囲を大きくした人工筋肉を使用。装着した人が関節を曲げようとすると、動きにあわせて人工筋肉が収縮して、その人の動きをサポートするという仕組みです」。試作アクチュエータは20を超えた。努力の先は、未来の介護現場につながっている。

工学部 知能機械工学科
赤木 徹也 先生

ないエネルギーで、長く走れる電気自動車を。

環境・エネルギー研究室では、電気自動車のさらなる進化に挑んでいる。岡山県が中心となり、県下の企業が連携して進める電気自動車開発プロジェクトの一員として参加。電気自動車を進化させるには、モーターの駆動の改善、電池の改善、システムの改善が必要になる。そのなかで、タイヤ・ホイールを直接駆動するインホイールモーターの制御の研究に取り組んでいる。「いかにメカロスを少なくするかが重要です。電池のエネルギーをロスなく使うには、モーターを効率よく回さなければいけません。それによってより少ないエネルギーで航続距離を伸ばすことができるようになります」。充電の環境が整えば、排気ガスの出ない電気自動車社会の誕生も夢ではない。新しい技術を開発する、その試行錯誤の向こうに明るい未来が待っている。

電気電子システム学科
笠 展幸 先生

先端医療の陰に、超精密加工技術あり。

自動車でも航空機でも、製品を作る時に絶対に必要なのが、材料を「加工」する技術。そんなモノづくりの基本を、とことんまで究めているのが金枝先生である。取り組んでいるのは、金属材料をナノメートル(10億分の1メートル!)の精度で加工できる方法を確立していくこと。その研究成果は医療にも役立っている。たとえば、金属の特殊なバネを組み込んだ「人工股関節」。股関節の病気に苦しむ患者さんのために、医療機器メーカーと共同で開発したものだ。人間が歩くと、体重の何倍もの荷重が股関節にかかるという。その衝撃を吸収し、しかも関節部が摩耗しない丈夫な構造にするためには、超精密な加工が求められる。その難題を金枝先生は見事にクリアした。「加工技術は『縁の下の力持ち』ですが、とても重要な技術。蒸気機関や自動車が実用化されたのも、アイデアを形にする加工技術があったからこそ」。ナノレベルの精密加工は、どうしてそんな現象が起こるのか、まだまだ謎が残されているという。それを解明して、多くの人々を幸せにするような研究成果を残したい。それが金枝先生の思いだ。

工学部 機械システム工学科
金枝 敏明 先生