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「金彩備前焼」の再現に成功 米国化学誌に論文掲載

草野教授と福原教授

バイオ・応用化学科 
草野 圭弘(くさの・よしひろ)教授
福原  実(ふくはら・みのる)教授


炭素ではなく、酸化鉄が要因と特定

 「我々も最初は、稲ワラや燃料のマキからくる炭素によるものだと考えたんです。でも金彩を詳細に分析しても、炭素膜は見つかりませんでした」と草野教授。代わりに見つかったのは、ベンガラで知られる酸化鉄でした。酸化鉄の極めて薄い黄色っぽい膜が、その下のガラス成分の反射光を受けて金色に輝いていることが分かりました。では、それをどうやって再現するか。ここからが大変な作業でした――。

 岡山理科大学、岡山大学と生産開発科学研究所(京都)の共同研究グループが、備前焼の中でも稀に現れる「金彩備前焼」の呈色要因を特定し、その再現に成功。研究成果は米国化学会発行の「Crystal Growth & Design」に6月19日掲載されました。


数百回に及ぶ実験を繰り返し

グループの中心で研究を進めたのが草野、福原両教授です。金彩の再現に向けて、焼成温度、冷却時間、酸素量などさまざまな条件を設定して実験を繰り返しました。両教授の指導の下、2年間にわたって取り組んだのが、大学院生だった藤野泰智さん(現在・大手ガラスメーカー勤務)です。「電気窯で実験を行ったのですが、一度実験をすると1~2日はかかってしまうため、すぐにデータをまとめて、また次の実験を行うという繰り返しで、時間との戦いでした」と振り返ります。

 数百回に及ぶ試行錯誤を積み重ねた結果、酸素がほぼない状態にして1230度で粘土を6時間焼成した後、900度まで冷却し、温度を維持したまま2時間空気に触れさせることで、金彩が発生することを突き止めました。福原教授は「藤野君の根気と優れた計画力がなければ、この成果にはたどりつかなかったでしょう」と、その努力をたたえます。両教授は、これらの技術について今年2月、特許を出願しました。


伝承を『科学』のデータにできた

 では、金彩はどんなことに利用できるのでしょう? 「備前焼に限らず他の陶磁器にも応用が利くし、ガラスの着色技術にも使えます。工芸、建材、タイルにも応用できます」と草野教授。「今度は銀色の再現を目指しています」と力を込めます。一方、藤野さんは「伝承を『科学』のデータにできたという点は、後世に残すという意味でも面白いことができたと思います」と話しています。

この研究成果は、米国化学会から発行されている論文誌の編集者らにより厳選される「ACS Editors’ Choice」に選ばれたため、6月19日付の「ACS Editors’ Choice」(https://pubs.acs.org/editorschoice/)でご覧いただけます。




<草野教授・略歴>
1995年岡山大学自然科学研究科物質科学専攻博士後期課程修了
〃 倉敷芸術科学大学芸術学部工芸学科助手
2003年ベルギー・リエージュ大学理学部化学科客員研究員
2012年倉敷芸術科学大学教授
2017年岡山理科大学工学部バイオ・応用化学科教授

<福原教授・略歴>
1980年東京工業大学大学院無機工学専攻博士課程修了(工学博士)
〃 米国ペンシルベニア州立大助手
1981年岡山理科大学理学部応用化学科助手
1995年 〃  工学部応用化学科教授
2006年   〃     バイオ・応用化学科教授


バイオ・応用化学科の学科HP
http://www.ous.ac.jp/dept/dac/