理大の栞理大50周年



その45[新幹線のトンネル対策と計算]  解説

 

【遺伝的アルゴリズム】
−生物の進化の過程をものまね−

 女優の菊川怜さんが学生時代に研究テーマにしていたことでも有名な「遺伝的アルゴリズム」ですが、新幹線の先頭ノーズの設計だけでなく、航空機ボーイング777のエンジンの設計など、さまざまな分野で応用・利用される最適化手法の一つです。
 遺伝的アルゴリズムは、生物の進化の過程をモデルとした処理方法により、コンピューターの中で世代交代を繰り返して、最終的に優れた「解」(先頭ノーズやエンジンなど)へ進化させます。このように、生物の進化をもとにしていますので、遺伝的アルゴリズムの研究では、生物学や遺伝学の分野で使われる言葉が頻繁に登場します。例えば、「突然変異」、「交叉」、「淘汰」、「個体」などです。特に「突然変異」は、皆さんもどこかで耳にしたり、言葉にしたことがあると思います。「白いカラス」を見たら「あれは突然変異だ」などですね。
 遺伝的アルゴリズムでは、解を「個体」と呼び、複数の個体を集団として、コンピューターの中にたくさん作成します。進化させる前なので、質の悪い個体がたくさんあっても構いません。これらのたくさんの個体に対して、「突然変異」だけでなく、個体同志が結婚して新たな子供をつくる「交叉」の処理も行いながら、環境に適応しない「個体」(解)を「淘汰」し、より優れた個体を次世代に残していくことを繰り返し、集団を進化させる仕組みになっています。実際の生物の進化は何千年や何万年という非常に長い時間がかかりますが、コンピューターの世界は、それよりも短時間(数分や数時間程度)で進化を可能にします。

【進化計算】
−人間の限界を超越するモノづくり−

 遺伝的アルゴリズムは「進化計算」の研究分野における代表的な手法です。その他として、アリ(蟻)の行動をもとにした「蟻コロニー最適化」や、鳥や魚などの集団の動きにヒントを得た「PSO」、最近では、ミツバチの採餌行動を真似た「蜂コロニー最適化」などの新しいタイプの進化計算手法も開発されています。
 このように進化計算の研究分野では、進化や生物の特徴などをモデル化し、世の中に存在する難しい問題をコンピューターを使ってうまく解決していくアプローチがとられています。このようなアプローチが登場した背景には、世の中で解決・設計するべき工学的なモノが高品質化していることがあげられ、従来の数学的なアプローチだけでは、私たち人間の要求を満たすモノづくりの実現が難しくなっているためです。したがって、より良いアプローチの探求を通して、自然界に存在する優れたアイデアに辿り着き、その結果、この種の最適化手法によって、人間の限界を超越するモノづくりを実現しつつあるのです。

 

提供:工学部 情報工学科 片山 謙吾 先生

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