理大の栞理大50周年



その27[昼間の星はなぜ見えない?]  解説

 

もちろん、空が晴れているときの話です。チャンスがあると、この質問を学生さん達にしてきました。数カ所の大学で、なかには院生の人たちもおりました。さてその答は、全部「太陽が出ているから」。しかし、これでは答として満足なものとはなっていません。なぜなら「では太陽がでていると、何故見えないの?」とさらに尋ねると「・・・・」となるからです。「太陽」という答えは、状況を指摘しているだけで「理由」を述べている訳ではありません。宇宙に行くと太陽は出ていますが、星も見えることからしても正しい答とはいえないですよね。
昼間、地球に届く太陽の光量を10000とします。私たちの身の回りにある空気には、多くの微粒子(塵や水滴など)が浮遊しており、光はこれらに当たって散乱します。いま、空気の流れによって、光量の0.1%が散乱=「マタタイテ」いるとしましよう。つまり、太陽の光量の変動量は10です。ここで、見たい星の光量が1しかない場合、この光は太陽の「マタタキ」である振幅10の波に「埋もれて」しまうのです。しかし、夜になって、太陽が沈み、月のあかりだけになり、その光量が10まで減ったとすると、気流の「マタタキ」による変動は10の0.1%、すなわち振幅0.01の波となります。したがって、光量1の星はハッキリと見える訳です。

その差が小さいと識別はしやすいのですが、差が大きくなるとわかりにくくなります。今回のお話もそういった類の話です。11から10を引くと1です。101から100を引くと1です。10001から10000を引いても1です。「数学」では何の問題もない世界ですが、実験や観察を必要とする分野では、10001から1を見つけ出すのは、大変なことなのです。本当は1であっても、実験・観察では1になったり、0になったり、あるいはマイナスになったりの世界です。「埋もれて」しまうのです。大きなタンカーにあなたを乗せて合計重量を測定し、次にそのタンカーの重量を測定すると、あなたの体重はその差で求められる、ト言ワレテモ・・・ですね。
科学の世界、奥深いですよ。

 

提供:理学部基礎理学科 山崎 重雄 先生

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