理大の栞理大50周年



その18[有機物で電気?] 解説

 

太陽電池という言葉は最近良く聞かれるトピックの一つだと思います。無尽蔵にある太陽の光エネルギーを有効活用して,電気エネルギーに変換して発電するという非常にクリーンなエネルギーを生み出す方法の一つです。最近は一般家庭へ普及しはじめたとはいえ,まだまだ製造コストが高いため利用が制限されています。

一般に広く普及している太陽電池は無機化合物であるシリコン系のもので,性能や信頼性は優れています。しかしながら安くなったとはいえ,まだまだコスト高は否めません。そこで低コストかつ長寿命で性能が高い太陽電池の研究開発が行われています。そのひとつとして注目されているものに有機太陽電池があります。有機太陽電池は,光電変換層に有機化合物を使用した電池のことで,製造コストが安く,大面積化や薄く加工ができるという利点を持っています。現在のところ実験室レベルでの変換効率は10%程度と低く,まだまだ本格的に実用化されておりません。

栞に紹介した「フラーレン」や「ポルフィリン」の誘導体を利用して電気を発生させる有機薄膜太陽電池は,基板上にそれぞれの有機化合物を数十ナノメートルの膜状に塗布して作成することができます。

フラーレン誘導体は電子受容性材料として,ポルフィリン誘導体は電子供与性材料として利用されており,それらの新しい誘導体の合成や膜化する技術に工夫を加えることによって,光電変換効率を向上させる研究が行われています。基板上に材料を塗ることによって作成できるので,簡便な方法で作成することができます。しかしながら,薄いことにより太陽光を十分に利用することができていないため,現在も活発に研究・改良が進められています。

現在,化石燃料の消費による地球温暖化や原子力発電使用による放射性廃棄物の増加など地球規模の問題が提起されています。太陽電池の普及はそんな問題を払拭してくれる最高のアイテムだと思います。日本での太陽電池の生産量は,世界の約半数を占めており,世界最大の生産国となっています。太陽電池の性能が上がり,コストが下がれば,世界のエネルギーが太陽光発電でまかなえる日が来るかもしれません。そんな日を夢みて,岡山理科大学で研究を続けているのです。

 

提供:理学部 化学科 岩永 哲夫 先生

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