理大の栞理大50周年



その16[活性酸素] 解説

 

最近よく耳にする活性酸素とは:

酸素は水素と燃やすと爆発的に反応(還元)して水になりますが、生体内では酸素は四段階で還元され最終的に水になります。活性酸素とは酸素が少しずつ還元されてできる分子種でス−パーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシラジカルが知られています。

 酸素の燃焼反応
  O2 (酸素) + 2H2 (水素) = 2H2O (水)

 生体内での酸素の反応 (1電子還元)
  1段階 O2 + 1電子 + 1H+ = HO2
         ・・・スーパーオキシド(・O2-)
  2段階 HO2 + 1電子 + 1H+ = H2O2
         ・・・過酸化水素
  3段階 H2O2 + 1電子 + 1H+ = H2O + ・OH
         ・・・ヒドロキシラジカル
  4段階 ・OH + 1電子 + 1H+ = H2O
         ・・・水

これらの活性酸素は反応性が高いので生体内物質と容易に反応します。私たちの体内で生じる活性酸素は生体に必要なためわざわざ作る場合と、生体内反応の副反応で生じる場合があります。生体が必要なためわざわざ作った活性酸素は体内に侵入してきた細菌を殺菌するためや、甲状腺ホルモンをつくるときなどに使われます。しかし、副反応で生じる活性酸素は、生体分子を傷害し、老化、発がんを起こさせる危険を持つため、その過剰蓄積を予防することが注目されています。
私たちがわざわざ活性酸素を作って利用している白血球についてもう少し説明しましょう。白血球は体内に細菌が侵入してくると捕獲(貪食)して感染から守ります。しかし、貪食された細菌はまだ増殖しようとするため殺菌する必要があります。そこで、白血球(好中球)は酵素(NADPHオキシダーゼ)を使ってブドウ糖を原料とする還元剤(NADPH+H+)と酸素を反応させてス−パーオキシドを作ります.このスーパーオキサイドはそのままで,さらに反応して生じる次亜塩素酸となり,細菌を殺します.この方法で白血球は有害な細菌の攻撃から私たちの生体を守っています.もしこの酵素に欠陥があると白血球は有害な細菌を貪食しますが、活性酸素で殺菌できないため細菌が増殖して慢性肉芽腫という病気になります。また白血球が殺菌作用を発揮しないときは、この酵素は活性酸素が発生しないように白血球内で数個のタンパク質に別れています。

 NADPH + H+ + 2O2= NADP+ + 2HO2⇒ HOCl殺菌作用
  NADPHオキシダーゼ    殺菌作用

赤血球は酸素を肺から全身に運び、細胞内で生命の維持に必要なエネルギー(ATP)を供給しています。赤血球は全身へ酸素を運んでいるだけです。この赤血球は必要でない副反応で過剰に生じた活性酸素で影響されます。例えば、赤血球が過剰の過酸化水素と出会ったらならば,赤血球が傷害され溶けて(溶血)細胞へエネルギーの産生に必要な酸素を運べなくなります。また、凝集を起こすと血管が詰まり、酸素や栄養がその先に供給されなくなりその部分の細胞が死んでしまいます(壊死)。このように副反応で生じる活性酸素が過剰になるとその他の病気の発症にも影響する場合がありますが,ご安心ください,生体には不要な活性酸素を分解する強い酵素群があります。また、私たちが毎日摂る食事の中には不要な活性酸素の分解を行なう成分を豊富に含む食品があることも判ってきています。(オンリーワンを求めて 近代科学社)

血液を染色したときの顕微鏡写真の説明

白血球はそのままでは顕微鏡でみることができません。ギムザ染色で染色しています。倍率は400倍です。

 

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