理大の栞理大50周年



その15[微生物] 解説

 

微生物は私達の生活に良くも悪くも関係の深い生き物です。人間が住むことができる範囲は陸上のごく限られた場所ですが、自然界にはいろいろな環境があり、微生物は地球上のありとあらゆる環境に生息しています。海底の活火山付近で100℃以上で生育する微生物もいれば、極寒の南極にも微生物はいます。病気の原因になる微生物もいれば、薬となる物質をつくり、人間の健康に寄与する微生物もいます。このような微生物を私達日本人は、昔からうまく利用して生活を豊かにしてきました。日本古来のものだけでも日本酒や味噌、醤油、鰹節、納豆などがあり、私達の周りには微生物の恩恵によるものがあふれています。

人間のために役立ち、犠牲になった菌がまつられた “菌塚”(京都 曼殊院)
しかし、このように人為的に増殖させたり、人為的に利用したりできるものは微生物の中でもごくわずかで、99%以上は未だ培養できていないことがわかってきました。つまり、今まで想像していなかったような数の微生物が土の中や環境中にいることもわかってきたのです。
では、見えない微生物がいることをどのようにすれば明らかにできるのでしょうか。
これはDNA(デオキシリボ核酸)を調べることでわかるようになってきたのです。土からその中に生きている生物のDNAを抽出し、それを分析します。採取できるDNAはほんのわずかですが、この微量のDNAを調べるには犯罪捜査や親子鑑定などでも利用されている遺伝子増幅法(PCR法)を利用します。
PCR法に用いるサーマルサイクラー
このPCR法により、微量のDNAから、ある特定の領域を増幅させて遺伝子配列を調べると種類による配列違いから、どのような微生物がいるのか判別することができます。
微生物の遺伝子配列解析データ
先に述べたように99%は培養したことがない微生物ですから、名前のない新種がごろごろと出てきます。この技術は人の腸内にいる細菌層(群)を調べることにより、腸内の状態を把握したりすることもできます。汚染されているとか、特殊な環境中にどのような微生物が優先的にいるのか、などもこの方法で調べることができます。現在、世界中の研究者が様々な環境中からDNAを抽出して調べ、その情報をデータベース化しています。また、このデータベースはインターネットを通じて世界中の誰もが使える形でどんどん蓄積されています。
今後、この情報が大いに役立っていくものと期待されています。

 

提供:理学部 生物化学科 三井 亮司 先生

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