理大の栞理大50周年



その14[超新星] 解説

 

超新星爆発とは、星のどのような運命なのか星の誕生から順に見ていきます。

星の誕生は、宇宙に瀰漫している水素ガスや分子雲などの星間物質の重力収縮によって始まります。この中心で、重力のエネルギーを転換して星が輝き始めます。これが原始星です。この星は、明るく輝いていますが、周囲のガスのため外からは見えにくくなっています。原始星が、さらに周りの物質を重力で引き寄せて大きくなり、中心温度が1000万度(10の7乗度)を超えると、中心部で水素原子の核融合反応によるエネルギーの生成が始まります。この反応では、水素原子からヘリウム原子を作り出します。この状態の星が主系列星です。
主系列星は、ガスの重力による収縮と内部の圧力がバランスした状態になり、収縮が止まります。燃料となる水素の減少と燃焼効率によって星の進化過程は決定されています。燃料の消費割合に対して温度上昇が勝っているため、星の表面温度は上昇していきます。
次に、星の中心付近で水素がなくなると、水素の核融合反応による熱の発生が無くなります。つまり圧力の生成がなくなるので、星は重力で収縮します。この収縮によって星中心付近の温度が上昇し、その温度が一億度(10の8乗度)に達すると、水素核融合の灰であったヘリウムの核融合が始まります。この核融合では、炭素や酸素原子が作られます。この反応は急速に進み、ヘリウムが無くなると炭素や酸素原子が中心付近に残り、星はさらに重力収縮し内部の圧力が高まります。その結果、ヘリウムの核融合波は外層部へ移動して行き、外層部の膨張によって表面温度が下がり、星は巨星化し、赤色巨星へと進化します。

ここからの星の運命は、星の質量によって異なってきます。運命を決定している星の質量は、われわれの身近にある太陽を基準にして、太陽質量の何倍という表現を使います。太陽質量の8倍以下の星は、ヘリウムの燃焼で赤色巨星になりますが、その後の炭素燃焼が起こるほどの重力収縮が起こらないので、星外層部を宇宙に放出し温度が下がっていきます。星の内部は温度低下によって圧力が減少し、星自身の重力を支えることができずに、直径5000km程度の白色矮星に進化します。白色矮星の表面温度は太陽の20倍程度の10万度にも達し、周辺に放出したガスを星からの紫外線によって電離させ発光させています。これが惑星状星雲です。白色矮星は、その後何億年かするうちに熱が失われ、黒色矮星となり静かに一生を終え、やがてバラバラになってしまいます。
太陽質量の8倍以上の星は、中心部のヘリウム燃焼で炭素・酸素を生成します。このとき星の外層は膨張し、赤色超巨星へと進化します。ヘリウム燃焼が終ると、星の中心部は圧縮され、半径が小さくなります。この頃の星は青色巨星となっています。中心部の圧縮がさらに進み、炭素の核融合が始まると、ネオン、ナトリウムなど生成されます。さらに炭素燃焼が終ると、ネオン核融合によって炭素・マグネシウム、酸素核融合からケイ素、硫黄が生成されます。さらに核融合が進むと星の中心付近に鉄が生成されます。鉄原子は核融合反応で熱を生成することはできません。つまり、鉄はまさに「灰」ということになります。また、鉄の中心核は熱を作らないので、重力によって収縮し高温になっていきます。最後には、鉄原子核が熱を吸収しヘリウムの原子核に壊れる反応を起こします。この反応で星の中心付近は、急激に温度が下がり、圧力が低下し、星の中心に生成された鉄の核は、重力崩壊を起こします。星の中心核の急激な崩壊現象によって、中心部分の鉄原子核は押しつぶされ中性子の塊に変化し、星の外層部は吹き飛ばされてしまいます。この中性子が大量に生成されるときにニュートリノが放出されます。これが超新星爆発です。
超新星爆発後の星の運命はさらに質量によってさらに分かれます。星の質量が太陽質量の40倍以下の時は、超新星残骸の中に“中性子星(パルサー)”が残り、それ以上の質量では光も脱出不可能な“ブラックホール”が残ります。

星の一生
超新星爆発は、大量の物質を宇宙に放出すると同時に、衝撃波と呼ばれる波を作り出します。この波は宇宙空間に存在していた磁力線を雪かきのように集めながら宇宙空間を進んでいます。この波によって圧縮された磁力線に、水素、ヘリウムや鉄の原子核が衝突すると、粒子の運動エネルギーを増加することができます。原子核たちは宇宙空間で衝撃波との衝突を繰り返すことで、エネルギーを増し続け、光速の99.99・・・%にまでなることができます。この高速の荷電粒子を総称して宇宙線と呼んでいます。1912年にオーストリアの物理学者ヘス(Victor Franz Hess)が、宇宙空間を高速で運動する放射線、つまり宇宙線を発見しました。宇宙線の組成は星の元素組成と大変よく似ており、超新星が起源であると考えられています。超新星起源である宇宙線は、太陽系以外の星の構成物質を手に入れる唯一の手段であります。
宇宙線の観測は、衛星・気球を使った直接測定や地上で行う間接測定が行われています。私達の研究室では、大学内に4組の観測装置を24時間365日稼働させ、観測しています。また、気球による宇宙線直接観測実験も行っています。研究については、情報宇宙研究室(iyono(AT)das.ous.ac.jp)まで尋ねて下さい。

星の一生を研究するためには、何億年もの星霜を経なければ結果が得られないはずです。でも、「夜空にはたくさんの星が見えます。明るい星、暗い星、赤い星、青い星、淡い星雲・星団など様々です。」というように、星空を見るとそこには暗黒星雲、原始星の誕生、主系列星、巨星、惑星状星雲そして超新星爆発とその残骸、そしてパルサーやブラックホールなどの様々な年齢の星を同時に観測することができます。

大マゼラン星雲での超新星爆発
写真は、1987年2月に大マゼラン星雲で起こった超新星爆発SN1987A前後の写真“(c) Anglo-Australian Observatory/David Malin Images”です。右半分が爆発前、左半分が爆発後です。太陽の1億から10億倍もの明るさに輝く様子がわかります。この超新星爆発が起こった大マゼラン星雲は、地球の南半球でしか観測できない星雲です。この超新星爆発で大量に作られたニュートリノという物質が日本でも捕らえら、ニュートリノ天文学の誕生という意味で大変重要であることから、責任者の東京大学の小柴先生がノーベル賞を頂いたようです。

 

提供:理学部 基礎理学科 伊代野 淳 先生

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