理大の栞理大50周年



その12[DNA] 解説

 

食欲の秋。食べたいものをあげると必ず上位に入る食材の一つにイクラがあります。言うまでも無くイクラは鮭の卵です。当然、卵ですからメスの鮭が持っています。では、オスの鮭は?と言うと白子を持っています。でも、鮭の白子を食べた人はほとんど居ないと思います。と言うのも、味がイマイチで鮮度が重要と言うこともあり、大部分が産業廃棄物として処分されているからです。では、鮭の白子の中には何が含まれているのかと言うと、そうです!「DNA」です。

白子から抽出したDNA
DNAは皆さんもご存知のように「遺伝子」であり、そのDNAを解析することによって病気の早期発見や治療、新薬の開発、植物などの品種の改良等に役立つと考えられています。そのため、DNAの研究は全世界で行われています。一方で、素材と言う側面からDNAを眺めるとDNAは化学物質の一つとして考える事が出来ます。特に、DNAは二重らせん構造という特殊な構造を取り、様々な分子と選択的に相互作用する事から、新しい材料として注目されています。その中でも注目される機能は、DNAの二重らせん内に特定の分子が取り込まれる現象です。
では、DNAの二重らせん内に取り込まれる分子にはどのようなものがあるのでしょうか? 実は、皆さんも聞いたことがあるダイオキシンやPCBなどの有害物質がこれに当てはまります。また、タバコの煙にもベンゾピレンという非常に高い発がん性を持っている有害物質が含まれていますが、この物質もこれに当てはまります。そこで、ダイオキシンやPCB、タバコの煙に含まれるベンゾピレンなどの有害物質を含んだ溶液にDNAを入れしばらく放置したところ、有害物質の濃度が減少しました。言い換えると、産業廃棄物である白子を用いることによって、有害物質を選択的に除去できるということが分かりました。そこで、現在、産業廃棄物として処分されている白子からDNAを取り出し、そのDNAをたばこやエアコンのフィルター、マスク等に利用することが行われています。このようなフィルターやマスクは有害な物質が体の中に入ることを軽減します。今後、鮭の白子から取り出したDNAは様々な分野に、応用されると思います。
DNAによる有害物質の選択的な除去
このように産業廃棄物から人類に役立つような物が出来るなんて「夢」があると思いませんか? 夢のある物質を作るのも「化学」ですが、すでにある物質から夢のような利用法を見つけ出すのも「化学」です。夢の続きは化学科まで・・・。

 

提供:理学部 化学科 山田 真路 先生

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