理大の栞理大50周年



その10[体の中を見る技術] 解説

 

医療現場で活躍する画像診断装置
今日の医療の現場では、人間の体の中を調べるさまざまな画像診断装置が活躍しています。一番歴史が古いのはX線装置で、今から約120年ほど前に、ドイツのレントゲン博士により発見されました。X線を身体にあてたとき、私たちの体は骨や筋肉などで構成されていますが、組織の種類に応じてX線を透過する度合いが違います。この性質を利用して、一方からX線を体にあて、透過してくるX線を影絵としてフィルムに焼きつけて診断します。
最近話題になっているX線CTは、X線を使ったコンピュータ断層撮影のことで、体の周りを色々な方向から撮影し、コンピュータを使って体内を輪切りにした画像を作ります。これを使うと、X線装置では判りにくい、体の中の深い位置にある臓器の微妙な異常を発見することができます。
MRI(核磁気共鳴診断装置)もコンピュータを使って断層像を作成する装置ですが、X線CTとは違って、磁石によって作った磁場を利用して、主に体内の水素原子核の状態を画像化する方法です。
この他にも、核医学やPET(ポジトロン断層法)という画像診断方法が使われています。これは、例えば、ガン細胞がよく吸収する薬に放射性同位元素を含ませて体内に投入し、薬が溜まった部位から出る放射線(ガンマ線)を検知することによってガンだけを画像化する方法です。

左上:X線、右上:MRI
左下:X線CT、右下:核医学

超音波を使って体の中を見る
以上のように、病院では、さまざまな画像診断装置が、それぞれの特徴をうまく利用して使われていますが、今日はその中から、超音波診断装置について少し詳しくお話したいと思います。
超音波画像診断装置はエコーとも呼ばれ、使用に当たって身体に害がありません。超音波を通しにくい空気を含む肺と骨以外の全ての部位を診断することができます。比較的小さな装置なので、病院のさまざまな場所で手軽に何回でも繰り返して使われています。

「やまびこ」の原理が基本 遠足に行って、見晴らしの良い峠で休憩したときに、遠くの山に向かって「ヤッホー!」と叫んだことがある人も多いと思います。このとき、近くの山からの「やまびこ」は短い時間で帰ってきますが、遠くにある山からの「やまびこ」はそれよりも長い時間が掛って帰ってきます。この時間差は、峠から発せられた「ヤッホー!」という音が、遠くの山まで行って戻ってくる時間に差があるために起こります。

この現象を利用すれば、逆に、「やまびこ」が戻ってくる時間を測ることによって、山までの距離を知ることができます。
超音波診断装置はこの原理を使って体の中を画像化する装置です。体の中のいろいろな方向に向かって超音波を発射し、反射してくる音の時間差を利用して体内を画像化します。
少しずつ違った方向に超音波を発射し、
反射してきた信号を組み合わせて体の断層像を作成する。

ドップラー効果で血液の速さも測れる
超音波診断装置の大きな特徴の一つは、血液の流れる速さを測ることができることです。皆さんは、近づいてくる救急車のサイレンが高い音に聞こえ、目の前を通り過ぎて、遠ざかっていく時には低い音に聞こえることを経験したことはありませんか。

これは「ドップラー効果」によるものです。音には、動いている物体から跳ね返るとき、音の高さ(周波数)が変化して戻ってくる性質があります。物体が近づいていると周波数は高い方にずれ、遠ざかっていると低い方にずれます。この現象をドップラーシフトと言います。周波数がずれる量と物体が動く速度には比例関係があるので、その量を計測すれば、物体の移動速度と方向が分かります。
超音波装置の場合、血液の中を流れる赤血球に当たった超音波は、赤血球の速度に応じてドップラーシフトするため、これを利用して血流速を測定することができるのです。

 

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