理大の栞理大50周年



その8[コンピュータの性能]  解説

 

現在のコンピューターの内部には,小さな半導体の中に数千万から数億個以上ものトランジスターを内蔵した集積回路が入っています。しかし,初期のコンピューターENIACが開発された当時にはトランジスターはまだ発明されていませんでしたので,真空管が用いられていました。真空管は電球のような形をした電子部品で,昔のテレビやラジオなどの機器に広く使用されていました。ENIACは,この真空管を約18,000本も並べて電子回路が作られたため非常に大がかりな装置となり,総重量30トン,設置するために倉庫1個分ものスペースを必要とする巨大サイズとなりました。これだけの規模の真空管式コンピューターを動作させるために当然ながら消費電力も大きくなり,150kWにも達しました。一般的な家庭で使用する電力は3kW程度ですから,この150kWというのは家庭50軒分の電力に相当します。

コンピューターENIACは1秒間に5,000回の加算,14回の乗算を行うことができました。開発された当時,これは驚異的な計算速度で,人間なら100年かかる計算を2時間で終わらせたという話も伝えられています。今やコンピューターはとても身近な存在となり,膝の上に乗るような小さなノートパソコンでさえも1秒間に数十億回以上の計算を行うことができます。

ところで,現在ではエアコンや洗濯機など,身の回りにある家電製品の多くにコンピューターが組み込まれています。また,携帯電話もコンピューターの一種といえます。そのような普段使用している製品の中に,実は飛び抜けて優れた計算能力を持つものがあります。それはおなじみの家庭用ゲーム機で,もちろんこれも立派なコンピューターの一つです。最近のゲームでは,リアルで高画質な映像をなめらかに表示するために莫大な量の計算処理が必要となります。その処理を行うため,最新型ゲーム機の計算能力は非常に高くなっています。そこで,このゲーム機を遊ぶためではなく,役に立つ科学技術計算を行うために使用するという研究が各所で進められています。岡山理科大学工学部情報工学科上嶋研究室の2008年度の卒業研究でこのゲーム機にある計算を処理させたところ,それまで学生が使用していたパソコンの約6倍もの速度で計算を行えることがわかりました。しかも,これはまだゲーム機が持つ能力のほんの一部であって,まだまだ潜在的な能力があり,プログラムを工夫すればするほど速く処理できることもわかりました。実際,スーパーコンピューターと呼ばれる世界最高速を争う超高性能コンピューターには,このゲーム機で使用している演算装置を応用した集積回路を多数接続して作られているものもあります。

ゲーム機(SONY PLAYSTATION 3)にキーボードとマウスを接続し,
コンピューターとして使用している様子
 

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