理大の栞理大50周年



その3[買い換え間隔]  解説

 

自動車業界は、ここ数年間好況でした。ところが現在では、サブプライムローン問題を発端とする世界的な経済環境の悪化により、自動車メーカーは生産規模の縮小を余儀なくされています。これまでの好況は、実は海外での需要に支えられたもので、国内の自動車販売が好調だったわけではありません。それだけに、打つ手がない状況になっています。
図1は、日本の保有自動車台数(乗用車)の推移を増加率とともに示したグラフです。ここ20年間、ずっと自動車の台数は増加してきました。しかし、その増加率は減少傾向を示しており、平成19年には1%を切っています。

図1.日本の保有自動車台数の推移(乗用車)
さらに自動車保有台数(乗用車)を都道府県別に調べると、都市部では台数が減る傾向にあります。都道府県別に地図を色分けした図2は、平成19年3月から平成20年8月までにかけての乗用車保有台数の変化率を示したものです。台数が減少した都道府県を青系の色で示しましたが、主として都市部で減少していることがわかります。都市部は公共交通機関が発達しているので、自動車を手放しても比較的不便ではない地域です。それに対して、地方では自動車が欠くことのできない移動手段となっているのでしょう。
図2.H19.3じゃらH20.8の自動車保有台数の変化率
岡山県では、この期間に乗用車の台数は 0.53% 増加しています。ところが、車種別に保有台数を調べたところ、図3に示すように、普通・小型乗用車の台数は減少していることがわかりました。その減少台数を補う以上に軽乗用車の台数が増加しています。平成20年にはガソリン価格が乱高下しましたが、岡山県ではそれ以前に軽乗用車へのシフトが始まっていたことが読み取れます。
図3.岡山県の乗用車台数
また、主要耐久消費財について、買替え間隔を調査したデータがあり、図4にグラフとして示しました。カラーテレビ、洗濯機、掃除機、乗用車の4品目の中ではカラーテレビの買替え間隔が最も長く、9〜10年となっています。洗濯機の買い替え間隔は9年弱、また掃除機は買い替え間隔が年々短くなっていることがわかります。それに対して、乗用車の買い替え間隔は長期化しています。15年前は、新車を購入し2回目(5年目)の車検で買い替えるのが標準的な行動だったのが、最近は3回目の車検(7年目)で買い替える人が増えたようです。
図4.耐久消費財の平均買い換え間隔
先に保有台数の増加率減少をみましたが、これは新規に車を購入する人が少なくなっていることが主たる要因と考えられます。そして、さらに車を現在持っている人も買替え間隔を長期化させているので、販売不振はますます深刻です。
さらに、街を走る乗用車の平均車齢(平均して、製造後何年経過した車が走っているかに相当する)データを図5のグラフに示します。 普通車(3ナンバー)と小型車(5ナンバー)を分けて示しましたが、どちらも高齢化しています。 平成バブル直後には普通乗用車の平均車齢が3年ほどでしたが、平成20年では7年を超えています。
図5.乗用車の平均車齢推移
自動車販売不振の原因は、若年層人口の減少、所得格差の拡大など、種々の要因が関連しています。そのような状況によって、消費者の自動車に対する嗜好に変化が生じたと推測します。自動車を販売する訴求点には、格好良さなどのデザイン、豪華さ、広さ、機能、燃費など、非常に多くのポイントがあります。その中で、移動手段としての基本的事項が重視されるようになり、10年ほどの間に消費者の嗜好が大きく変わったようです。これからは環境資源問題に真剣に取り組む必要もあり、物質的豊かさよりも心の豊かさを求める時代への変化であれば歓迎されます。最後に、買替え間隔の地域差を図6に示しました。中国・四国地方は物を比較的大切にするようです。
図6.平均買い換え間隔(平成19年度)
(社会情報学科2008年度卒業研究論文「国内自動車販売低迷の実態と原因追及」(米森真之介君)の一部を改変)
 

ページTOP

岡山理科大学 kouhou(atmark)ous.ac.jp 086-256-8412
Copyright (C) Okayama University of Science.