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2016年03月20日
平成27年度学位記授与式
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波田研究室
平成27年度学位記授与式 式辞

ここに、平成二十七年度学位記授与式を挙行するにあたり、関係各位を始め 多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、またご家族の皆様のご列席をいただき、厚く御礼申し上げます。
本日は岡山理科大学にとりまして第四十九回の学位記授与式です。学部1271名、修士 94名、博士6名の合計 1371名 がめでたく学位を取得され、これに加えて教職特別課程 11名、留学生別科 17名が修了され、総計1399名の諸君の学位記授与式です。教職員を代表し、心からお祝いいたします。
高等学校を卒業して大学生となり、そして今、社会人として出発の時となりました。この間、厳しい経済状況の中、物心共に支えてこられました保護者の方々に 深く祝意と敬意を表明いたします。ようやくといった安堵のお気持ちと共に、巣立っていく寂しさもといった所ではないかと拝察いたします。

岡山理科大学は1964年の創立であり、わずか2学科で出発しました。しかし、現在は4学部17学科1コース、来年度には教育学部の2学科が加わり、5学部19学科となります。在学生数は約6200名を超え、中国四国地区で最も多くの在学生を擁する大学へと発展してきました。建学以来 岡山理科大学を巣立っていった学生は、皆さんを合わせますと、学部生45709人、大学院の修士課程修了者は3664人、合計49373人となりました。
今後、様々な場所で活躍している先輩に出会われることと思います。皆さんも岡山理科大学の卒業生としてさらなる研鑽を積まれ、社会の中で活躍されますよう、お願いいたします。

さて、このたび、本学の創立50周年を記念して、平成26年度より建設中のA1号館がついに完成しました。新建物は11階建て、延べ床面積27000千u、東京ドームのグランド面積の2倍以上という大きなものです。図書館や語学研修施設など自学自習の施設を備えており、化学実験室や物理実験室など、全国的にも誇れる施設です。このような、岡山理科大学の発展を象徴する建物の建設であるからこそ、大きな期待を抱いて見ていていただいたものと思う次第です。

しかし、このたび卒業される皆様方は、A1号館の建設のため、2年間、大変不便な思いをしたことでしょう。 本日は、地下1階から4階および11階について、12時から14時までの時間は館内を見学することができます。新しい工作センターや図書館、ラウンジなどぜひ味わっていただきたいと思います。皆さんのほとんどは20歳台ですから、50年後の百周年の時には、70歳になったばかりです。是非とも五十年後、卒業式の時に完成した建物だ、と訪れてみてください。工事期間中の皆様のご寛容、大学を代表しまして感謝申し上げます。

ところで皆さんもご存知のとおり、本年4月、障害者への差別禁止や合理的配慮の提供を義務付ける「障害者差別解消法」が施行されます。本学においては、この法律が施行される4年前、理学部応用数学科に全盲の三川(みつかわ)君が、そして総合情報学部情報科学科にはチェアーウオーカーの渡邉君が入学してきました。正直言いまして、坂と階段ばかりの岡山理科大学で、勉学ができるのだろうか。彼らは不安を感じているのではないだろうか、と思っていました。しかし、三川君は前向きな行動力、またすばらしい言語力を持ち、明確な弁舌で県立岡山盲学校での研修会で講師も務められました。「不幸を受け入れる。だからといって、つらい思いばかりをする人生では無い」との彼の言葉には重みがあります。

また、渡邉君が学内を車いすで移動している姿は、私にとってはある意味感動でした。小さなでこぼこを器用によけ、克つスムーズに。エレベーターに乗るときのクラスメートによる自然な配慮。渡邉君の周りにはクラスメートの理解や協力があり、坂や階段ばかりの本学のキャンパスライフも楽しく過ごすことができたそうです。
本日、お二人は見事に卒業研究を終え、優秀な成績で学士の学位を取得されました。それぞれの進む道を目指し、社会に向かって巣立って行かれます。本人の強い意志、ご家族のサポート、ノートテイクなどの同級生たちのヘルプ、ゼミの指導教官のみならず、教育に携わってきた全ての教員の合理的配慮がここまでの成果を生みました。当然のことですが、ハンディキャップを乗り越えてここまで成長してきた二人の人格が周囲の理解として表れたと思います。本当におめでとうございました。同時に、関わってきた皆さんに深く感謝し ありがとうと御礼を申し上げたいと思います。この二人が4年前に作り始めた道は、必ず未来へと続きます。

さて、私は先人の名言などを引用するのが苦手なのですが、今回は私の人生に重なる、文章に出会いましたのでここでお話しさせていただこうと思います。

その本は、曽野綾子さんの「人間の分際」という新書です。分際とは、そのものに応じた程度や限界を意味する言葉で、身の程とか身分の意味もあります。この本にはたくさんの内容が盛り込まれています。その一つに【うまくいかないとき「別の道を行く運命だ」と考える】という項目があります。最善ではなく、次善の事であっても謙虚な気持ちで努力すれば、結構うまくいくことが多いのではないでしょうか。
気の持ちようということですが、私流から言えば「下から目線」ということでしょうか。私は大学の学部を六年かかって卒業しました。原因は、交通事故で一年棒に振ったこと、大学紛争で講義を正常な状態で受けられなかったこと、経済的に厳しかったので、アルバイトをたくさんやっていたことなどで、大変な学生生活でした。
当然、大学院に進学することは考えることもできず、まともに就職することもできそうになかったので、今流に言えば、卒業後はベンチャー企業の設立を考えていました。
そのような中、岡山理科大学での助手の就職口の話が降ってわきました。今から44年前、1971年の事でした。当時、私の属していた講座には、たくさんの大学院生がいましたが、皆、その話を断ったので小生のところに番が回ってきたということでした。設立間もない岡山理科大学でしたので、大学院生にとってはあまり魅力的な就職口ではなかったわけです。

私は大学院に進学しませんでしたので、岡山理科大学で研究者としてやっていける自信など、当然全くありませんでした。数年後には中断したベンチャー企業の設立に復帰することも考えていた状況でした。しかし、私の研究は、努力すれば、確実に経験値と成果が上がる分野であったこともあり、論文博士になることもできました。そして、当然目標であったわけではありませんが、現在は学長です。
見方によれば、「為せば成る」なのですが、低い分際から出発できたために、余分なことを考える必要もなく、高い目標設定する必要もなく、心安らかに研究に没頭できたからだと思っています。

曽野綾子さんはこのようにも書いています。「人にはすべて運命というのがあるんです。その運命には変えることができない部分がある。また無理矢理変えてみたところで、らしくないことは不自然だし、美しくない。しかし、もし人がそれを甘受して、その運命をむしろ土壌にして自分を伸ばそうとするとき、多くの人は運命を超えて偉大となる。

改めまして、学位の取得をお祝いいたします。どうか、健康に気をつけて、豊かな探求心を持ち、それぞれの道を歩んでいってください。皆様の前途に幸多かれと祈りつつ、私の式辞とさせていただきます。

平成28年03月20日
学校法人加計学園
岡山理科大学
学長 波田善夫
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